こんにちは、小豆島ハウスの大須賀です。
小豆島で10月といえば、秋祭りの季節です。今回は10月15日と10月22日に開かれた「内海八幡神社秋祭り」と「坂手みなとまつり」に参加したことを書きたいと思います。
〈内海八幡神社秋祭り〉
小豆島と豊島には計8カ所の八幡神社があり、秋祭りでは「ふとん太鼓」という舁山形式の太鼓台を舁き、それぞれの神社に奉納しますfig.1。今回僕が参加したのは、小豆島ハウスがある坂手地区が属する内海八幡神社のお祭りです。太鼓の舁き手たちは白の太鼓襦袢を身に纏い、地域ごとに決められた色の鉢巻きを巻いて(坂手は緑色)、4kmほどの道を太鼓と共に進んでいきます。
このお祭りの見所は、太鼓台を使ったダイナミックな演技です。太鼓台を横に大きく傾ける「かえし」や、手から離れるほど宙に放り上げるしゃしゃげなど、1tほどある太鼓台を上下に左右に雄大に動かしますfig.2。こうした派手な演技をするためには人手が必要です。坂手地区では「かえし」をするには少し人が足りなかったところに、ほかの地区の舁き手たちが助けに来てくれて、太鼓を舁き上げることができました。
いつも車で通り過ぎていた道を太鼓台と共に行くと、さまざまな発見がありました。細い道でギリギリ太鼓台を「かえす」と周囲の家に激突しそうなスリルがあり、とても白熱しますfig.3 。太鼓台を担ぐための長い木の棒は、普段は運送業の倉庫の脇の小屋にしまわれていますfig.4。桟敷と呼ばれる石垣の席に座って、太鼓を眺める地域もありますfig.5。島のあちこちに、祭りとリンクした設えが埋め込まれていることに気付きました。
〈坂手みなとまつり〉
小豆島ハウス近くの坂手港は、神戸─小豆島─高松を結ぶジャンボフェリーが発着することで、関西方面からの玄関口になっています。そんな坂手港で毎年行われる「坂手みなとまつり」ですが、今年はジャンボフェリーの新造船「あおい」の就航を記念したメモリアルなお祭りになりましたfig.6。
島の内外から集まってきた飲食店がお店を出して、ヤノベケンジさんの作品「スター・アンガー」を背にしたステージで音楽が演奏されたりと、いつも何気なく使っていた坂手港がお祭りらしい楽しい空間に様変わりしていましたfig.7fig.8。
ひときわ素敵だったのが、最後のジャンボフェリーのお見送りです。船上の見送られる人と、岸で見送る人が、繋がった紙テープを持ちます。船が出発するとテープが引っ張られ、パラパラと途切れていくfig.9。そこに鳴り響く、「二人を結ぶジャンボフェリー」の生演奏出港時と着岸前にジャンボフェリーの船内で流れるテーマソング。フェリー利用者にはお馴染みの曲になっている。。港では、去っていく「あおい」を背にしばらく大合唱が続きましたfig.10。
思えば島の人たちは、これほど大規模ではないにしろ、普段から港でお見送りをしていることを思い出しました。出会いと別れの場である港に感謝の気持ちを抱かせてくれる、そんな「坂手みなとまつり」でした。
ふたつのお祭りを経て、これまでケとして捉えていた島のハレの部分が浮かび上がってきました。お祭りはそれ自体が楽しい催しであるだけでなく、その舞台となる島自体に目を向けるきっかけとなって、コミュニティの紐帯をつくるのかもしれません。そう思うと、お祭りのようなセレモニアルな出来事にも、建築ができることがもっとありそうです。来年もまた、お祭りの季節が楽しみです。