許國威
1966年台湾台北市生まれ/1996年テキサスA&M大学都市および地域科学の博士号を取得/台湾住宅都市開発局公務員を経て台湾の彰化県で環境景観の総合コンサルタントとして勤務/研究分野は都市再生、生態都市計画・設計、産業文化資産再発展、文化資産空間再利用運営管理など
新建築.onlineの新連載、土曜日のテーマは「海外の都市」です。新型コロナウイルスの影響により海外への渡航が制限され、現地へ赴くことが難しい状況において、建築や都市を学びはじめた学生の方々に向けて、各国の都市で何が起こっているのかを現地からのレポートを通じて紹介していきます。連載第1段は台湾です。都市に残された歴史的な建物を「遺産」として積極的に活用することで、都市の更新を促しています。
台北市西區門戸計画は台北の玄関であり、台北駅および台北府城北門周辺の歴史的建造物集落を中心に、「引き算のデザイン」の発想から橋を解体し、史跡の「北門」(台北府城北門)を再現する再開発プロジェクトである。大型緑地が台北駅、北門、淡水河および大稻埕歴史街区を連結し、都市の歴史的景観を守りつつ、都市の更新を実現した。fig.2fig.3
この計画は、都市の新しい脈絡を体現するだけでなく、都市更新の機会もつくりだす。そのなかで、SOM(Skidmore, Owings & Merrill)が設計した「台北双子星」(TAIPEI TWIN TOWERS) 開発プロジェクトでは、ホテル、オフィス、ショッピングモール、アート・スペースが備わった緑豊かな高層建築が計画されている。ビルの外観には台北盆地の独特な景観や文化・歴史的要素を具現化し、都市の発展において新旧融合のモデルとしての期待が集まる。fig.4