映像作家・木之内憲子による、アクリルという透明な素材を通じてデジタルアートと空間の関係性を探るインスタレーション展。庭園をテーマに、映像を用いて鮮やかな空間を構成している。
ショールームに置かれたアクリル製の机や椅子には、水面の波紋を表現した映像、壁面には花びらが舞い散る映像が照射されている。fig.1。それぞれの机や椅子には木の葉や鯉などさまざまなプリントが施され、その色彩や透明度によって映像が家具を透過したり、反射したりするfig.2。見る角度や距離によって、映像の背景となる家具の一部が消え、プリントだけが浮かんでいるように見えるfig.3。一方、会場を俯瞰すると、光がわずかに屈折することで透明の机や椅子が揺らいで見え、その存在感が強調される。映像と透明素材の組み合わせにより、見る場所によって揺らぎが生まれ、固定したイメージとして捉えることのできない動的な展示だ。
(新建築.ONLINE編集部)