新建築 2018年10月号 富岡商工会議所会館
Content
超高層木造建築のロードマップを描く W350=日建設計(設計) 住友林業(企画構想)大規模木造建築の解体・増築がさまざまな循環を生む森林と共に生きる街 LOOP 50=大林組(設計・施工計画)自立分散型の生産システムをつくる VUILDの活動=秋吉浩気
【木造特集】 主な収録作品:
富岡商工会議所会館=手塚貴晴+手塚由比+矢部啓嗣/手塚建築研究所 大野博史/オーノJAPAN山王のオフィス=栗原健太郎+岩月美穂/studio velocityeggg Cafe=原広司+アトリエ・ファイ建築研究所猿楽十方楼=平井政俊建築設計事務所竹中研修所「匠」新館増築=竹中工務店名古屋城天守閣木造復元プロジェクト=竹中工務店ゆすはら雲の上の図書館/YURURIゆすはら=隈研吾建築都市設計事務所小林市庁舎=梓設計熊本県総合防災航空センター=小川次郎/アトリエ・シムサ+ライト設計大船渡消防署住田分署=SALHAUSみんなの交流館 ならはCANvas=都市建築設計集団/UAPP大槌町文化交流センター「おしゃっち」=前田建設工業・近代建築研究所・中居敬一都市建築設計・TOC異業種特定建設共同企業体+ホルツストラ丘の礼拝堂=百枝優建築設計事務所英照院本堂=DXE一級建築士事務所宝性院観音堂=PERSIMMON HILLS architects白山宮 足王社=AUAU建築研究所吊り梁のシルエットルーフ=飯田貴之建築設計事務所 Live Haus建築設計所東京都庭園美術館レストラン=三浦洋介+河合正理+水谷絢子/久米設計さざなみの森 仮りぐらしのロッジ=竹原義二/無有建築工房伏見稲荷の納戸=垣内光司/八百光設計部

作品

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
富岡商工会議所会館 設計 手塚貴晴+手塚由比+矢部啓嗣/手塚建築研究所 大野博史/オーノJAPAN
施工 タルヤ・湯川 新富岡商工会館建設工事共同企業体所在地 群馬県富岡市
道路拡張に伴う旧商工会議所の解体に伴い,富岡製糸場と富岡市役所(本誌1807)の中間に位置する「吉野呉服店」の跡地に新しい商工会議所を建設するプロジェクト.建物を細長い敷地の片方に寄せることで,路地空間をつくり出している.1スパン1.8×1.8mの斜め格子のアウターフレームによりかつての呉服店の建物のボリュームを意識したノコギリ屋根を形成.
TOMIOKA CHAMBER OF COMMERCE AND INDUSTRY TAKAHARU TEZUKA+YUI TEZUKA+KEIJI YABE / TEZUKA ARCHITECTS HIROFUMI OHNO / OHNO JAPAN
Gunma, Japan
2018

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
山王のオフィス 設計 栗原健太郎+岩月美穂/studio velocity
施工 スギヤマ所在地 愛知県岡崎市
設計者・studio velocityの自社オフィス.ラミナ1本ごとの部材長を測り強度試験を行ってデータ化し,梁用集成材のラミナ配列から設計.あらかじめプレテンションによって梁を引っ張りたわませることで,上に人が乗れる曲面を実現した.場所によって天井高の変化するワンルーム,緩やかに周囲からプライバシーが確保された皿のような形状の屋根上空間が生み出されている.
OFFICE IN SANNO STUDIO VELOCITY
Aichi, Japan
2018

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
eggg Cafe 設計 原広司+アトリエ・ファイ建築研究所
施工 TH-1所在地 東京都小平市
東京郊外の幹線道路に面した,奥行約10m,間口約28mの帯状の敷地に建つ飲食店舗.長屋門をモチーフとした薄い平面形を,間に奥行2.5mほどの中庭を挟んで2列並行に配置し,奥の棟の高さをおよそ倍の高さとしている.
EGGG CAFE HIROSHI HARA + ATELIER Φ
Tokyo, Japan
2018

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
猿楽十方楼 設計 平井政俊建築設計事務所
施工 和田工務店所在地 東京都渋谷区
都心部のヘタ地に建つCLTを用いた重層長屋の計画.地階に店舗,1階に多世帯住宅のための仕事場,2,3階多世帯住宅からなる.
SARUGAKU PLURAL DIRECTED TOWER MASATOSHI HIRAI ARCHITECTS ATELIER
Tokyo, Japan
2018

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
竹中研修所「匠」新館増築 設計施工 竹中工務店
所在地 兵庫県川西市
南側外観.約8万m
2
の「清和台の森」に建つ自社の研修宿泊施設の増築計画.CLTパネル工法からなり,4周にはCLTパネルによる庇が巡る.地上躯体に430m
3
のCLTを使用.
TAKENAKA TRAINING CENTER TAKUMI EXPANTION TAKENAKA CORPORATION
Hyogo, Japan
2018

写真: 竹中工務店
photo: TAKENAKA CORPORATION
名古屋城天守閣木造復元プロジェクト 設計 竹中工務店
所在地 愛知県名古屋市中区
1612年に完成し,1945年の空襲による焼失後,1959年に鉄筋コンクリートで再建された天守閣を,木造で復元するプロジェクト.宝暦の大修理(1752年)から空襲で焼失するまでを復元の姿とし,現存する資料を元に史実に忠実な木造復元が進められている.建築情報をすべてBIM化.BIMモデルの部材データはNCマシンと連動させた部材加工が予定されている.
NAGOYA CASTLE TOWER WOODEN RESTORATION PROJECT TAKENAKA CORPORATION
Aichi, Japan
2020~2022

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
ゆすはら雲の上の図書館/ YURURIゆすはら 設計 隈研吾建築都市設計事務所
施工 戸田・四万川特定建設工事共同企業体所在地 高知県梼原町
高知県梼原町に建つ図書館と福祉施設.保育施設と体育館に隣接し,多世代が集う場となることが目指された.図書館の天井には120mm角のスギ材で構成された木組.また館内はすべて上足,階段状の空間とすることで,さまざまな居場所をつくり出している.
YUSUHARA COMMUNITY LIBRARY + YUSUHARA TOWN WELFARE CENTER KENGO KUMA & ASSOCIATES
Kochi, Japan
2018

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
小林市庁舎 設計 梓設計
施工 本館(行政棟): 坂下・緒方 特定建設工事共同企業体 東館(議会棟): 坂口・丸山 特定建設工事共同企業体所在地 宮崎県小林市
木造3階建ての東館と,鉄骨造+鉄骨鉄筋コンクリート造4階建ての本館(行政棟)の2棟からなる市庁舎.地元の資源・人材・産業で建てられる木造建築とするため,東館は特殊な工法や接合金物は用いずにつくられた.3段たすき掛け筋かいによる純木造の耐力壁「KB-WALL」がファサードに現れている.
KOBAYASHI CITY OFFICE AZUSA SEKKEI
Miyazaki, Japan
2018

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
熊本県総合防災航空センター 設計 小川次郎/アトリエ・シムサ+ライト設計
施工 岩下・熊野建設工事共同企業体所在地 熊本県菊池郡
防災消防航空センターと警察航空隊基地が合築された九州における広域防災拠点.鉄筋コンクリート造の整備資材庫や事務室に,消防・県警の各格納庫及びブリーフィングルームの木造大架構が積層する構成.小径(120mm角)のスギ材により,各格納庫には約20mスパンのトラス梁が架け渡されている.
KUMAMOTO PREFECTURE DISASTER RELIEF AVIATION CENTER JIRO OGAWA/ATELIER SIMSA + RAITO SEKKEI
Kumamoto, Japan
2017

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
大船渡消防署住田分署 設計 SALHAUS
施工 佐武建設・住田住宅産業・山崎工業特定共同企業体所在地 岩手県気仙郡住田町
築43年の消防分署の移転・建て替え計画.豊富な木材資源を持つ住田町が推進する「木質の中心市街地」の計画として,敷地南側に建つ「住田町役場」(本誌1411)に続くふたつ目のプロジェクト.接合部に金物を使わずに,楔と込栓を用いる伝統的な貫工法によって建てられた.
OFUNATO FIRE DEPARTMENT SUMITA PRECINCT SALHAUS
Iwate, Japan
2018

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
みんなの交流館 ならはCANvas 設計 都市建築設計集団/UAPP
施工 諸橋建設工業所在地 福島県双葉郡
2011年の東日本大震災の影響で避難指示区域となり,2015年9月より指示が解除された福島県楢葉町に建つ地域住民の交流施設.21×21m,高さ6.1mの吹き抜けのあるワンルームの空間に,小断面の梁を格子状に重ねた大屋根が架かる.この地に住む住民の交流の拠点として期待される.
NARAHA CANVAS UAPP/URBAN ARCHITECTURE PLANNING PARTNERSHIP
Fukushima, Japan
2018

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
大槌町文化交流センター「おしゃっち」 設計施工 前田建設工業・近代建築研究所・中居敬一都市建築設計・TOC異業種特定建設共同企業体+ホルツストラ
所在地 岩手県上閉伊郡
東日本大震災の津波によって被害を受けていた図書館と地域交流施設の建て替えに伴って計画された木造3階建ての図書館複合施設.西側ファサードには連続門型アーチ架構,ホールは立体張弦トラス,3階図書館では樹状方杖架構を用いるなど,いずれも一般流通材を主に使用しながら用途ごとに架構を使い分けている.
OTSUCHI TOWN CULTURAL COMMUNICATION CENTER “OSHATCHI” MAEDA CORPORATION・MODERN ARCHITECTURE INSTITUTE・NAKAI ARCHITECTS・TOC+HOLZSTR
Iwate, Japan
2018

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
丘の礼拝堂 設計 百枝優建築設計事務所
施工 勇進建設所在地 長崎県長崎市
3層の樹状のユニットを積層させた木造礼拝堂.敷地周辺は丘や公園,森林など長閑な自然環境に囲まれている.
AGRI CHAPEL YU MOMOEDA ARCHITECTURE OFFICE
Nagasaki, Japan
2016

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
英照院本堂 設計 DXE一級建築士事務所
施工 沼澤工務店所在地 山形県新庄市
山形県新庄市にある曹洞宗の寺院本堂の建て替え計画土地柄,降雪を考慮した屋根形状をつくっている.装飾に用いられている中央のルーバーは,付加的にTMD制震機構としての機能持つ.使用された木材はすべて無垢材.
A TEMPLE OF EISHO-INN DXE ARCHITECTURAL OFFICE
Yamagata, Japan
2017

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
宝性院観音堂 設計 PERSIMMON HILLS architects
施工 山崎工務店所在地 埼玉県北葛飾郡
日光街道沿いで約400年以上続く寺院の観音堂兼多目的スペースの計画.通りに面し,駐車場として使用されていた敷地に,宿場町だった当時建っていた茶屋のように地域に開かれたような空間をつくることが意図された.観音堂は,方形屋根の頂点をずらしながら登り梁を架けたメッシュ状の架構とすることで,105×270mmの梁材で12.7mのスパンを架け渡している.
HOSHOIN KANNONDO PERSIMMON HILLS ARCHITECTS
Saitama, Japan
2017

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
白山宮 足王社 設計 AUAU建築研究所 施工 駒住建+美津濃所在地 愛知県日進市
神社の拝殿の東に建つ,足の安全を祈願するための社.V字型の柱と2段の梁による木造ラーメン構造による参拝スペースから,鉄骨の支柱によって支えられる環状の回廊が伸びる.参拝スペースの屋根は,梁の高さを1本ずつ変えることで「てりむくり」を表現したもの.
HAKUSANGU-SHRINE ASHIOSHA AUAU
Aichi, Japan
2017

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
吊り梁のシルエットルーフ 設計 飯田貴之建築設計事務所 Live Haus建築設計所
施工 アキュラホーム所在地 茨城県つくば市
ロードサイドに建つ木造住宅メーカーの支店.1階は商談・展示イベントスペース,2階が執務・会議室として使われる.地場産の小径流通材による現場組み立ての湾曲版により9mのスパンを飛ばしている.自重によるたわみ,水勾配などを考慮し,屋根形状を決定した.西側はオーバーハングさせ,奥の北側駐車場へのアプローチとしている.
ROOF WITH THE SILHOUETTE OF MT. TSUKUBA, BY HANGING SEMI-RIGID BEAM IIDA TAKAYUKI ARCHITECT & ASSOCIATES, LIVE HAUS ARCHITECTS Ibaraki, Japan 2017

撮影: 走出 直道(エスエス)
photo: Sode Naomichi
東京都庭園美術館レストラン 設計 三浦洋介+河合正理+水谷絢子/久米設計
施工 小暮工業所在地 東京都港区
既存レストランの老朽化に伴う建て替え計画.敷地の地形や周囲からの見え方,レストランからの眺望,室内に入る日射しの調整により曲面からなる屋根形状を決定.それに沿って室内天井も3次元曲面を描く.仕上げ材には,周辺の景観との繋がりから木とし,加工しやすいカラマツを選定した.
TOKYO METROPOLITAN TEIEN ART MUSEUM RESTAURANT KUME SEKKEI
Tokyo, Japan
2018

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
さざなみの森 仮りぐらしのロッジ 設計 竹原義二/無有建築工房
施工 大和建設所在地 広島県東広島市
認定こども園さざなみの森の園舎大規模修繕工事に伴い,駐車場内に建設されたマンサードフレームの仮設園舎(2017年9月~2018年3月).園の保護者や学生有志と共に組み上げた.現在は解体されたが,フレームと床材建具は保管されていて,リユースが計画されている.
SAZANAMI NO MORI KARIGURASI NO LODGE MOO ARCHITECT WORKSHOP
Hiroshima, Japan
2017

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
伏見稲荷の納戸 設計 垣内光司/八百光設計部
施工 武中建設所在地 京都府京都市伏見区
伏見稲荷大社近くの敷地に建つ企業の倉庫.千本鳥居を参照した柱間2,730mm,高さ3,385mmのフレームが,910mmピッチで並ぶ.鳥居型フレームは貫工法で地組みし,基礎にアンカーボルトとハイブリッド座金で固定.
STORAGE OF FUSHIMI INARI KOJI KAKIUCHI / YAOMITSU DESIGNING DEPARTMENT Kyoto, Japan 2017