新建築 2013年9月号 小豆島の葺田パヴィリオン
Content
留
学生を通して見る建築と建築教育の可能性
=賈良玖(東京大学)×ファース・ギョーム(東京工業大学)×キム・ビョンジン(早稲田大学) 吉村靖孝(司会)
主な収録作品:
タメディア新本社=SHIGERU BAN ARCHITECTS EUROPE生長の家 “森の中のオフィス”=清水建設九州芸文館=隈研吾建築都市設計事務所 末光弘和+末光陽子/SUEP. 日本設計木籠のオフィス=末光弘和+末光陽子/SUEP.伊東建築塾 恵比寿スタジオ=伊東豊雄建築設計事務所
特集: 今ある環境と地域を活かした建築
市原湖畔美術館=川口有子+鄭仁愉/有設計室アーツ前橋=水谷俊博+水谷玲子/水谷俊博建築設計事務所 記事: 前橋市中心市街地の街づくり 石田敏明小豆島の葺田パヴィリオン=西沢立衛建築設計事務所直島宮浦ギャラリー=西沢大良建築設計事務所 解説: 直島について=西沢大良風と水のコクピット=三分一博志建築設計事務所馬木キャンプ=ドットアーキテクツ 記事: 建築をつくることで,人と人が繋がる=成家俊勝+赤代武志(ドットアーキテクツ)高松港・アート工房 ―ベンガル島―/吹しまづくりラボ=みかんぐみ+岡昇平+神奈川大学曽我部研究室 解説: そこに存在するものからつくり出す=みかんぐみトイレの家=石井大五+フューチャースケープ建築設計事務所豊島横尾館=永山祐子建築設計九州工業大学製図室=古森弘一建築設計事務所カモ井加工紙第二製造工場倉庫=武井誠+鍋島千恵/TNA若鶴大正蔵=金沢工業大学 蜂谷研究室(基本計画)+蜂谷俊雄+金沢計画研究所(実施設計)佐原町並み再生プロジェクト いなえ+郡裕美+遠藤敏也/スタジオ宙

作品

撮影: Didier Boy de la Tour
photo: Didier Boy de la Tour
タメディア新本社 設計 SHIGERU BAN ARCHITECTS EUROPE
施工 HRS Real Estate所在地 スイス,チューリッヒ
スイスにあるメディア企業の新本社.スイスでも大規模な木造となる7階建てのオフィス.木造架構がガラスカーテンウォールに包まれる.街区角の7階建て新築に加え,隣の5階建ての既存建物上に2層分増築している.
TAMEDIA NEW OFFICE BUILDING SHIGERU BAN ARCHITECTS EUROPE
Zurich, Switzerland
2013

提供: 清水建設
photo: SHIMIZU CORPORATION
生長の家 “森の中のオフィス” 設計施工 清水建設
所在地 山梨県北杜市
原宿にある「生長の家」の国際本部オフィスが八ヶ岳南麓に移転した.駐車場棟,別敷地のメディアセンターを含めた屋根に太陽光発電パネルを設置,バイオマス発電や蓄電池などの利用により建物で使用するエネルギーをつくり,ゼロエネルギービル(ZEB)を実現している.
SEICHO-NO-IE “OFFICE IN THE FOREST” SHIMIZU CORPORATION
Yamanashi, Japan
2013

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
九州芸文館 設計 隈研吾建築設計事務所+日本設計(本館・アネックス2) 末光弘和+末光陽子/SUEP.+日本設計(アネックス1)
施工 鹿島・大藪・西日本特定建設共同事業体(本館) 安達建設(アネックス1) 古賀建設(アネックス2)所在地 福岡県筑後市
福岡県筑後市の九州新幹線筑後船小屋駅前の地域広域公園内に立つ,ギャラリーや工房などからなる文化交流施設.駅前の広場に面して本館,アネックス1,アネックス2の3棟がある.
KYUSYU GEIBUN-KAN KENGO KUMA AND ASSOCIATES NIHON SEKKEI SUEP.
Fukuoka, Japan
2012

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
木籠のオフィス 設計 末光弘和+末光陽子/SUEP.
施工 イノウエハウジング所在地 福岡県八女市
福岡県八女市にあるリサイクル会社のオフィス.屋根と外壁には透光性の素材を使用し,地場産スギの古材でつくった網代状の木籠で光を拡散することで自然採光の執務スペースとなっている.
OFFICE OF WICKERWORK HIROKAZU SUEMITSU + YOKO SUEMITSU / SUEP.
Fukuoka, Japan
2013

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
伊東建築塾 恵比寿スタジオ 設計 伊東豊雄建築設計事務所
施工 内藤建設所在地 東京都渋谷区
都内の住宅地に建てられた伊東建築塾「NPOこれからの建築を考える」の活動拠点.アプローチから内部まで一続きに設えたコンクリート土間,光や風,視線や音を調節する2枚の引き戸によって,外部とゆるやかに繋がる.地中熱など自然エネルギーを活用しながら温熱環境を整える.
ITO JUKU EBISU STUDIO TOYO ITO & ASSOCIATES, ARCHITECTS
Tokyo, Shibuya
2013

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
市原湖畔美術館 設計 川口有子+鄭仁愉/有設計室
施工 山内工業 オカモト 岡崎設備工業 三和電設 AGC硝子建材所在地 千葉県市原市
千葉県市原市,高滝湖を望む丘に建つ鉄筋コンクリート造の建物のリノベーション.彫刻の展示を主とした既存建物の躯体のみを残し,それを縫うようにアートウォール(亜鉛メッキのスチール折板による壁)を挿入.様々なバリエーションの展示室を持つ,自然,アートと一体化した美術館へと再生.
ICHIHARA LAKESIDE MUSEUM ARISEKKEI
Chiba, Japan
2013

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
アーツ前橋 設計 水谷俊博+水谷玲子/水谷俊博建築設計事務所
施工 佐田・鵜川・橋詰特定建設工事共同企業体所在地 群馬県前橋市
橋市中心市街地に建つ.2006年に閉館した商業施設を市が買い取り,市立美術館へとコンバージョンした.地下1階地上9階建ての既存建物のうち,地下1階~地上2階までを改修.既存の外壁の上に,アルミパンチングを覆った.2011年に行われたプロポーザルにて水谷俊博建築設計事務所が選定された.前橋市は中心市街地活性化基本計画を策定.既存ストックを活用した計画などが進行している.
ARTS MAEBASHI TOSHIHIRO MIZUTANI ARCHITECTS
Gunma, Japan
2012

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
小豆島の葺田パヴィリオン 設計 西沢立衛建築設計事務所
施工 鹿島建設所在地 香川県小豆郡小豆島町
厚さ19mmと6mmの鉄板2枚を組み合わせたパビリオン.「福武ハウス」として瀬戸内国際芸術祭2013の夏会期の会場となる旧福田小学校に隣接する葺田神社内に設置された.同小学校内体育館に設けられたレストランの客席として使われる.
FUKITA PAVILION OFFICE OF RYUE NISHIZAWA
Kagawa, Japan
2013

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
直島宮浦ギャラリー 設計 西沢大良建築設計事務所
施工 鹿島建設所在地 香川県香川郡直島町
かつて市街地の中心施設であったパチンコパーラーを改修.直島の穏やかな光が降り注ぐ,写真とビデオアートのための黒い展示室である.地元住民に親しまれていた既存ファサードを保存し,隣接する公園と一体化して使えるような計画されており,.展示室の天井に設置されたルーバーは上空からの日差しによって色調や濃淡を変える.
GALLERY MIYANOURA TAIRA NISHIZAWA ARCHITECTS
Kagawa, Japan
2013

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
風と水のコクピット 設計 三分一博志建築設計事務所
施工 ナイカイアーキット所在地 香川県香川郡直島町
直島本村地区で計画中のプロジェクトのために同地区で続ける実証実験.屋根形状と風の関係がつくる圧力差による空気の動きの実験と,気化熱によって室内を冷やすための水と風の速度の実験.瀬戸内国際芸術祭2013の夏会期限定で公開されているパビリオンでもあり,直島の風と水と太陽を体感できる.
COCKPIT FOR WIND AND WATER SAMBUICHI ARCHITECTS
Kagawa, Japan
2013

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
馬木キャンプ 設計 ドットアーキテクツ
施工 自主施工所在地 香川県小豆郡小豆島町
瀬戸内国際芸術祭2013小豆島・醤の郷+坂手港プロジェクトのひとつ.真光寺というお寺の下の町長が所有する敷地で,周辺には醤油蔵や佃煮屋が軒を連ねる.300万円の資金で材料を調達し,誰もが建築をつくれるよう,簡素化したつくり方を選択しドットアーキテクツと住民の方がたで施工をした.会期終了後には地元住民の方の公民館として使用される予定.
UMAKI CAMP DOT ARCHITECTS
Kagawa, Japan
2013

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
高松港・アート工房―ベンガル島― 設計 みかんぐみ+岡昇平+神奈川大学曽我部研究室
施工 セーラー広告所在地 香川県高松市
バングラディシュと日本のものづくり作家が公開制作,販売,パフォーマンスを行うための展示ブース.瀬戸内芸術祭2013 夏会期中(2013年7月20日〜9月1日)のみの設置.材料はすべて期間後に返却可能なもので構成.バングラディシュからは伝統工芸や日常的に市場などで扱われる生活に根差したものづくり作家が来日.首都ダッカの市場を参考に活気ある空間をつくり出した.
TAKAMATSU PORT ART FACTORIES -BENGAL ISLAND- MIKAN+SHOHEI OKA+SOGABE LABORATORY, KANAGAWA UNIVERSITY
Kagawa, Japan
2013

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
伊吹しまづくりラボ 設計施工 みかんぐみ+岡昇平+神奈川大学曽我部研究室
所在地 香川県観音寺市
数年前の台風被害により廃業となった漁とイリコ加工を行うための工場を利用した,瀬戸内芸術祭2013 夏会期に際したプロジェクト.伊吹島の文化や歴史を島民とともに研究するまちづくり拠点.漁用具や廃材や漁の期間中住み込むために持ち込まれていた生活用品などを活用しデザインした.ラボの活動は,島民たちを研究員をとして会期終了後も継続される.
ISLAND PLANNING LAB, IBUKI MIKAN+SHOHEI OKA+SOGABE LABORATORY, KANAGAWA UNIVERSITY
Kagawa, Japan
2013

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
トイレの家 設計 石井大五+フューチャースケープ建築設計事務所
施工 伊井工務店所在地 香川県観音寺市
瀬戸内芸術祭2013に際して伊吹島に整備された公衆トイレ.廃校になった伊吹小学校の敷地に建つ.外壁の色や切妻の屋根勾配を近隣と合わせている.6大陸の主要都市と,伊吹島の夏至冬至,伝統行事である夏祭り(7月15日)や島四国の日(旧暦3月21日の平均日)の午前9: 00の太陽方位にスリットを設け,島固有の時間と世界との繋がりを重ね合わせた.
HOUSE OF TOILET DAIGO ISHII+FUTURE-SCAPE ARCHITECTS
Kagawa, Japan
2013

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
豊島横尾館 設計 永山祐子建築設計
施工 ナイカイアーキット所在地 香川県土庄町
東側遠景.3棟の民家を改修した,横尾忠則氏の美術館.家浦地区の集落の中に建つ.「生と死」をテーマに平面作品11点の他,インスタレーション3点が展示される.
TESHIMA YOKOO HOUSE YUKO NAGAYAMA & ASSOCIATES
Kagawa, Japan
2013

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
九州工業大学製図室 設計 古森弘一建築設計事務所
監修 徳田光弘+九州工業大学建築計画研究室施工 千葉工務店所在地 福岡県北九州市
新設の建築学科のため,使用されていなかった鉄筋コンクリート造のボイラー室を製図室に改修した.既存不適格増築の要件を満たすため,既存床面積の1/2に抑え鉄骨造で増築.
KYUSHU INSTITUTE OF TECHNOLOGY DRAFTING ROOM FURUMORI KOICHI ARCHITECTURAL DESIGN STUDIO
Fukuoka, Japan
2013

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
カモ井加工紙第二製造工場倉庫 設計 武井誠+鍋島千恵/TNA
施工 藤木工務店所在地 岡山県倉敷市
岡山県倉敷市にある加工紙を扱う会社の工場兼倉庫の改修.既存建物資料室,休憩ラウンジに改修したカモ井加工紙第三撹拌工場史料館(本誌1205)に隣接して建つ.長手方向55m,短手方向20mの建物でかつてはワンルームであったが作業スペースなどを新設.柱の側面にCTを付加し壁面上部の柱間にブレースを設け耐震補強を行った.
THE SECOND MANUFACTURING FACTORY AND WAREHOUSE OF KAMOI KAKOUSHI MAKOTO TAKEI+CHIE NABESHIMA / TNA
Okayama, Japan
2013

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
若鶴大正蔵 設計 金沢工業大学 蜂谷研究室
(基本計画)
蜂谷俊雄+金沢計画研究所
(実施設計)施工 松井建設所在地 富山県砺波市
1922年に建てられた若鶴酒造本社工場の酒蔵の改修.北陸コカ・コーラボトリングの創立50周年と,グループ会社である若鶴酒造の創業150周年に際する記念事業として,研修施設に再生された.改修前の設計・施工者が不明のため実測調査からはじめ,減築や補強を行い確認申請不要な改修とした.
WAKATSURU TAISYOGURA KANAZAWA PLANNING RESEARCH
Toyama, Japan
2013

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
いなえ 設計 郡裕美+遠藤敏也/スタジオ宙
施工 しゅはり所在地 千葉県香取市
千葉県香取市佐原の重要伝統的建造物群保存地区に建ち,5軒の建物からなる.右2軒の町家は喫茶と佐原特産品の物販店として,その奥に広がる中庭と,洋館,土蔵,倉は町の憩いの場,喫茶,ギャラリーとして使われている.看板建築へと改造されていた明治の商家の軒下空間,中庭を再生した.改修工事は5年3期にわたった.
INAE YUMI KORI + TOSHIYA ENDO / STUDIO MYU
Chiba, Japan
2012