新建築 2010年8月号 青々荘
Content
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さまざまな街への働きかけ 主な収録作品
: 練馬のアパートメント=長谷川豪 alp+one roof apartment=平田晃久 青々荘=青木淳 上野毛ハウス+TOYOI 6+南品川集合住宅B=川辺直哉 プロジェクト: ソウル江南地区「デザインマスターピース」ハウジング A3 Block=山本理顕+Ga. A Architects 祐天寺の連結住棟+clover house=北山恒 ルネヴィレッジ成城 他=柳澤潤 CONTE=長田直之 T字路のつきあたり=西村浩 COMODO TERRAZZO=下吹越武人 サクラノキテラス=伊藤博之 プロジェクト: 下馬の集合住宅=小杉栄次郎+内海彩 NEST=第一生命保険+飯田善彦座談会: 集合住宅を横断するさまざまなスケール 青木淳×平田晃久×長谷川豪東京工業大学すずかけ台キャンパスG3棟レトロフィット=和田章+元結正次郎+坂田弘安+奥山信一インタビュー=和田章長楽寺納骨堂=山本良介アトリエ

作品

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
練馬のアパートメント 設計 長谷川豪建築設計事務所
施工 ミサワホーム東京
所在地 東京都練馬区
賃貸住戸20戸と最上階のオーナー住戸で構成される.3方角地の敷地なので,すべての面に開口を持つ.厚みのある外壁と,それぞれの住戸に併置されたテラスは,外部環境とのさまざまな繋がり方をもたらす.
NERIMA APARTMENT GO HASEGAWA & ASSOCIATES
Nerima, Tokyo, Japan 2010

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
alp 設計 平田晃久建築設計事務所
施工 三浦工務店所在地 東京都北区
都内の住宅地に建つ,11戸の集合住宅.地下1階地上2階建て.複数の屋根が連なるボリュームの内部に共用階段が内包されている.外壁は墨色の顔料を混入したコンクリート打ち放し.
alp AKIHISA HIRATA ARCHITECTURE OFFICE Kita, Tokyo, Japan 2010

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
one roof apartment 設計 平田晃久建築設計事務所+吉原美比古
施工 久保田建設所在地 新潟県上越市
積雪地帯に建つ地上4階建て,19戸の集合住宅.直方体のボリュームを長手方向にふたつに割った空間を共用部としている.平側手前のスリットよりアプローチする.雪がたまらないよう各住戸の窓下辺は傾斜させている.
one roof apartment AKIHISA HIRATA ARCHITECTURE OFFICE + YOSHIHIKO YOSHIHARA
Jyouetu, Niigata, Japan 2010

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
青々荘 設計 青木淳建築計画事務所
施工 佐藤秀所在地 東京都武蔵野市
東京・吉祥寺の933.98m
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の敷地に建つ中庭型の集合住宅.13戸の賃貸住戸とオーナー住戸からなる長屋で,各住戸には中庭からアプローチする.長さ50mの大きなボリュームが圧迫感を与えないように,道路側壁面には青木野枝氏によるリング状のアートを取り付けている.中庭では,煉瓦の色や階段の大きさ,照明など,住戸や共有スペースの風景をつくり出す工夫をしている.また,将来の用途変更や住戸の拡張ができるように,外壁や界壁をあらかじめ開口部を設けた構造としており,その開口部を埋めているコンクリートや遮音壁を取り壊せるようにしている.
MAISON AOAO JUN AOKI & ASSOCIATES
Musashino, Tokyo, Japan2010

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
上野毛ハウス 設計 川辺直哉建築設計事務所
施工 佐藤秀所在地 東京都世田谷区
都内の中層ビル群と住宅街の間に計画された19戸の賃貸長屋.4つに分節されたボリュームの大きさと高さが,敷地の中で周辺環境に合わせて変化している.開口は,外部との関係性や視線の制御を考慮して慎重に配置されている.
KAMINOGE HOUSE NAOYA KAWABE ARCHITECT AND ASSOCIATES
Setagaya, Tokyo, Japan 2010

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
TOYOI 6 設計 川辺直哉建築設計事務所+プロパティデザインオフィス
施工 吉川の鯰所在地 埼玉県草加市
住宅地に建つ地上2階の木造共同住宅.賃貸5戸とオーナー住戸1戸が周辺のスケールに合わせた3つのボリュームに分けて計画された.それぞれのボリュームにかかる屋根はその勾配と方向に配慮され,住宅が寄り添って建っているように見える.
TOYOI 6 NAOYA KAWABE ARCHITECT AND ASSOCIATES+PROPERTY DESIGN OFFICE
Souka, Saitama, Japan 2010

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
南品川集合住宅B 設計 川辺直哉建築設計事務所
施工 三浦工務店所在地 東京都品川区
東京港の埠頭の近くに計画された地上3階,地下1階の賃貸共同住宅.道路を挟んで建つ予定の10階建ての「南品川集合住宅A」とは接道と用途地域の違いからボリュームが大きく異なる.外壁面を雛壇状にセットバックさせ、上階に行くにしたがって立面を交互に引き延ばし上階立面との距離感を短縮している.
APARTMENT IN SOUTH SHINAGAWA B NAOYA KAWABE ARCHITECT AND ASSOCIATES
Shinagawa, Tokyo, Japan 2010

画像提供: 山本理顕設計工場
image: RIKEN YAMAMOTO & FIELD SHOP+GA. A ARCHITECTS
ソウル江南地区「デザインマスターピース」ハウジングA3 Block 設計 山本理顕設計工場+Ga.A Architects
所在地 韓国ソウル江南地区
韓国江南地区に建つ低所得者層向けの集合住宅計画.各住居の入口部分に設けられた,韓国の伝統的住居形式の「sarangbang」(客間),それを繋ぐ「madang」(中庭)と,住棟の間に設けられたcommon fieldをひとつのコミュニティの単位とし,地域に開かれた集合住宅のあり方を目指す.
SEOUL GANGNAM DISTRICT “DESIGN MASTERPIECE” HOUSING A3 BLOCK RIKEN YAMAMOTO & FIELD SHOP+GA. A ARCHITECTS
Seoul, South Korea 2014

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
祐天寺の連結住棟 設計 北山恒+architecture WORKSHOP
施工 佐藤秀所在地 東京都目黒区
敷地は木造密集住宅地の一画.46戸の分譲集合住宅という大きなボリュームを,周辺環境に合わせて分棟配置することで街に対応したスケールとなっている.細い路地をそのまま引き込むような,中庭を設けている.
YUTENJI APARTMENTS KOH KITAYAMA+ARCHITECTURE WORKSHOP
Meguro, Tokyo, Japan 2010

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
clover house 設計 architecture WORKSHOP
施工 ユニホー 辰カンパニ所在地 東京都世田谷区
7戸の賃貸住戸と2戸のオーナー住戸からなる集合住宅.賃貸住戸の面積に対応した3つの塔状のボリュームは,それぞれファサードが色と開口率の異なる有孔折板で覆われている.アイランド状の敷地で隣接する建物がないため,全方向に開くことができる.
CLOVER HOUSE ARCHITECTURE WORKSHOP
Setagaya, Tokyo, Japan 2010

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
ルネヴィレッジ成城 設計 柳澤潤/コンテンポラリーズ
施工 小川建設所在地 東京都世田谷区
70m
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前後の9棟の分譲長屋.高さ6m,31枚の鉄筋コンクリートの壁柱を構造とし,9棟が小さな中庭を共有しながら集合している.住戸1階の床の仕上げはすべて土間コンクリート.中庭との一体感を生み出し,自分の領域が広がる.
RENAI VILLAGE SEIJO JUN YANAGISAWA / CONTEMPORARIES
Setagaya, Tokyo, Japan 2010

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
松庵 森の家 設計 柳澤潤/コンテンポラリーズ
施工 新発田建設所在地 東京都杉並区
6戸のコーポラティブハウス.上階の柱の下に柱を設けない,岡立ちフレームの鉄骨構造を採用することにより,それぞれの住戸ごとに施主の要望に合わせたプランニングが可能となった.平面は400mmのモジュールで構成されている.
HOUSES IN THE WOOD JUN YANAGISAWA / CONTEMPORARIES
Suginami Tokyo, Japan 2010

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
CONTE 設計 長田直之/ICU
施工 松村組所在地 東京都調布市
地上3階,計14戸からなる集合住宅.長方体のボリュームの外周に6つの垂直のボイドが等価に配置され,各階に水平のボイドが1カ所ずつ挿入されている.垂直のボイドは住戸間や都市との適度な距離を生み,水平のボイドはテラス,エントランスなどの共用空間となる.
CONTE NAOYUKI NAGATA / ICU ARCHITECTS OFFICE Cyofu, Tokyo, Japan 2010

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
T字路のつきあたり 設計 西村浩/ワークヴィジョンズ
施工 小川建設所在地 東京都中野区
東京・中野のT字路のつきあたりに建つ4戸の賃貸住戸とオーナー住戸の共同住宅.限られた敷地を最大限に活用するために,建物間の僅かな隙間や敷地前面に延びるT字路,窓先空地や北側高度斜線によって生まれる空間を,住戸内の空間や,窓からの風景として積極的に取り込んでいる.その結果,都市居住の形式のひとつとも言える,複雑な構造体になっている.
THE APARTMENT AT THE END OF THE ALLEY WORKVISIONS ARCHITECTS OFFICE
Nakano, Tokyo, Japan 2010

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
COMODO TERRAZZO 設計 下吹越武人/A.A.E.
施工 平成建設所在地 東京都中野区
地上3階建て,12戸から成る集合住宅.路地に沿って南北に細長い敷地に建つ.路地の向いの戸建て住戸群のスケールに合わせて,ファサードのボリュームを分割している.2階の住戸には階段を上がったのち,テラスを通ってアクセスする.
COMODO TERRAZZO TAKETO SHIMOHIGOSHI / A.A.E.
Nakano, Tokyo, Japan 2010

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
サクラノキテラス 設計 伊藤博之建築設計事務所+O.F.D.A.
施工 カワベホームズ所在地 東京都目黒区
サクラの木が植えられたテラスを取り囲み,全ての開口がサクラに向くように配置された6戸の木造賃貸共同住宅.各戸3層構造.室内の床・壁の仕上げの色で左から右へ濃淡のグラデーションが付けられている.
SAKURANOKI TERRACE HIROYUKI ITO ARCHITECTS&ASSOCIATES+O.F.D.A.
Meguro, Tokyo, Japan 2010

撮影: 淺川敏
photo: Satoshi Asakawa
下馬の集合住宅 設計 小杉栄次郎+内海彩/KUS
所在地 東京都世田谷区
軸組工法の木造1時間耐火建築物の5階建て集合住宅.斜材が水平力を,フラットスラブと集成材の柱が鉛直力を支える.
SHIMOUMA APARTMENT EIJIRO KOSUGI+AYA UTSUMI / KUS Setagaya, Tokyo, Japan 2011

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
NEST 統括 第一生命保険設計 飯田善彦建築工房
施工 日本建設所在地 東京都武蔵野市
第一生命ビルを,事務所に店舗と賃貸住居を加えたコンプレックスに建て替えたもの.北側斜線と日影規制によって二辺が大きく削がれた変形ボリュームの中に,事務所と店舗2軒,7戸のSOHO付き賃貸住戸を埋め込んでいる.設備や動線を集約したり,各住戸をメゾネットやトリプレットすることによって,空間を確保している.
NEST IIDA ARCHISHIP STUDIO
Musashino, Tokyo, Japan 2010

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
東京工業大学すずかけ台キャンパスG3棟レトロフィット デザインアーキテクト 和田章+元結正次郎+坂田弘安+奥山信一設計 東京工業大学施設運営部+綜企画設計+テクノ工営
施工 淺沼組 柿本商会 積田電業社所在地 神奈川県横浜市
1979年竣工,11階建ての研究室棟の耐震改修.「心棒」の建築構造を応用し,既存建物のくびれ部分計6カ所に,地盤面との接地点をピン接合としたロッキング壁柱を設置.建物各階層の層間変形角を揃え,特定層の破壊を防止する.壁柱下端部には偉人のアフォリズムが刻まれる.
TOKYO INSTITUTE OF TECNOLOGY SUZUKAKE-DAI CAMPUS G3 BUILDING RETROFIT deign architects: AKIRA WADA+ SYOJIRO MOTOYUI+HIROYASU SAKATA+ SHINICHI OKUYAMA architects: TOKYO INSTITUTE OF TECNOLOGY FACILITIES DEPARTMENT + SO KIKAKU SEKKEI + TECHNO KOEI
Yokohama, Kanagawa, Japan 2010

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
長楽寺納骨堂 設計 山本良介アトリエ
施工 藤木工務店所在地 香川県綾歌郡
香川にある浄土真宗・長楽寺の納骨堂.寄棟造で瓦葺きの伝統構法に似た外観をしているが,水平梁がなく,重ね垂木や母屋を支える腕木など,新しい木構造が考案されている.また,棟木を支える棟柱にケヤキの自然木を使ったり,内陣の床や棚を木村英輝氏が描いた蓮で埋め尽くすなど,従来の納骨堂にはない華やかな空間が生み出されている.各部材の接合を継ぎ手や仕口,ダボなどで行い,金物の使用を少なくしているのも特徴.
OSSUARY AT CHORAKUJI-TEMPLE YAMAMOTO RYOSUKE ATELIER
Ayautagun, Kagawa, Japan 2009