住宅特集 2017年5月号 地形の画室
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[特集]敷地に応答せよ──変形敷地の可能性特集作品18題地形の画室=福山博之 living journey=佐藤美輝 安城の住宅=三家大地 ヤマノイエ=津野恵美子 クッテハウス=矢部達也 天川の山荘=関谷昌人 TRANS=駒田剛司+駒田由香 海辺の丘=川本敦史+川本まゆみ tomy=大場徳一郎 宮内義孝 武蔵藤沢の家=清水壮輔+頭井奈菜子+頭井秀和 HYH=UAo 千本の家=矢田朝士 5層のワンルーム住居=松山将勝 擁壁と屋根/対行政住宅=齋藤隆太郎 4n/NEW LIGHT POTTERY=今津康夫 Loop=彦根アンドレア 小江戸川越の町家=鹿嶌信哉+佐藤文 披露山の家=三浦丈典[特集記事]コンディションを読む──変形敷地への応答に見る境界を越える思考 曽我部昌史×島田陽×松岡聡×田村裕希 記事制作: 白須寛規 田野宏昌
地形の画室
撮影: 新建築社写真部

作品

撮影: 新建築写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
地形の画室 設計 福山博之/福山建築事務所
施工 安松建託所在地 群馬県安中市
群馬県の緑豊かな住宅地に計画された絵画アトリエ。同じ敷地には母屋(生活スペース)があり、その一画に建つ。盛土し、整地された地面を掘り返すことで再編成された第3の地形として床を造成。床の起伏と、ジョイスト梁の均等配列による水平面に挟まれた空間がアトリエ。立体的な床に画材が配され、その中心で画家が制作する。
Studio of Terrain Hiroyuki Fukuyama/ Fukuyama Architects
Gunma, Japan
2016MAP

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
living journey 設計 佐藤美輝|佐藤事務所 施工 前澤工務店所在地 東京都新宿区
都心の高層ビル群にほど近い敷地に建つ分棟形式の住宅。母屋から離れの屋上庭と中庭を見る。住宅密集地において、視線の抜けや近隣の庭を借景しながら計画している。

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
安城の住宅 設計 三家大地建築設計事務所 施工 ザイソウハウス所在地 愛知県安城市
広い庭のある低層住宅や畑が広がる街の角地に建つ住宅。西側道路が幹線道路に抜ける交通量の多い道であることから、ナカニワの高さは土工事の残土で嵩上げし、道路と縁を切っている。道路からピロティ越しにステージのようなナカニワが見え、さらに寝室の開口越しに東側隣家の庭まで視線が抜ける。

撮影: 西川公朗
photo: SHINKENCHIKU-SHA
ヤマノイエ 設計 津野建築設計室 津野恵美子
施工 佐藤秀
所在地 神奈川県足柄下郡
落葉樹林の傾斜地に建つ週末住宅。友人や家族だけでなくさまざまな人と集まることのできる多用途の場所。もともとの木の生え方や水の流れ方から配置を決め、斜面の上と下に2棟が分かれて建ち、それらを渡り廊下で繋ぐ構成。

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
クッテハウス 設計 矢部達也建築設計事務所 施工 コシマ所在地 大阪府豊中市
敷地は北西側で2mだけ接道し、東側は里道と擁壁を挟んで約3.6m上部で公園と道路と接する変形敷地。間口3mのチューブ状の空間を2度折れ曲げるように配置し、最高高さをGLから約6.5mに抑え、余白にひっそりと挿入されるような佇まいとしている。

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
天川の山荘 設計 PLANET Creations 関谷昌人建築設計アトリエ 施工 ハンワコーポレーション所在地 奈良県吉野郡
熊野川源流の天ノ川の川岸に建つ夫婦のための別荘。敷地は川に向かって17m下がる急傾斜地で、建物を前面道路のレベルまで埋め、川に対して6mキャンチレバーで突き出させている。

撮影: 新建築社写真部 傍島利浩
photo: SHINKENCHIKU-SHA
TRANS 設計 駒田剛司+駒田由香/駒田建築設計事務所 施工 仲野工務店
所在地 東京都港区
都心の間口4mほどの小さな土地に建つ住宅。細長い路地のような空間を住宅内部にもつ。南北両端に3層吹抜けの階段室を配置することで、上下の視線の抜けを生むと共に、家全体を行き止まりのない流動的な空間としている。

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
海辺の丘 設計 川本敦史+川本まゆみ エムエースタイル建築計画 施工 小澤工務店所在地 静岡県御前崎市
北側の道路から見る。南側に太平洋を臨む敷地にあり、この場所固有のランドスケープを生かして住宅でありながらも公園のような場所をつくるために、鉄筋コンクリート造平屋建ての住宅を埋設して丘のような地形をつくっている。

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
tomy 設計 大場徳一郎 宮内義孝
施工 東山工務店
所在地 東京都
密集地の旗竿敷地に建つ。個性豊かな敷地境界が強く意識される中、境界を曖昧にして、地表の立ち上がりから屋根までを同一の仕上げとし、内装も分節を曖昧にして室内外共に地形化することを意図した。

撮影: 新建築社写真部 野田東徳
photo: SHINKENCHIKU-SHA
武蔵藤沢の家 設計 清水壮輔+頭井奈菜子+頭井秀和 施工 坂上工務店 所在地 埼玉県入間市
敷地の北側と南側で高低差4.5mという、台地と低地の境界に当たる斜面に位置し、周りには斜面をひな壇状に造成した戸建て住宅が建ち並ぶ。北側の道路レベルに合わせて建てるのではなく斜面の途中に建てることで、開放的な構成ながらも周囲の住宅とは視線がずれてプライバシーを保つ。斜面である敷地の南北に庭をとり、全面開放可能な建具により庭と1階部分が連続する。

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
HYH 設計 UAo 施工 栄伸建設 所在地 東京都大田区
閑静な住宅地に位置し、間口が狭く奥行きが深い細長い敷地に建つ。家族の生活の中心となるような大階段を中央にもつ。北側は戸建て住宅が建ち並ぶ通りに面し、高台のためその先には斜面地が見え、南側には2階と同じ高さにある公園に面する。南北で異なる視界が広がるこうした敷地の特徴から、2階部分で南北に視線が通る空間としている。

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
千本の家 設計 矢田朝士/ATELIER-ASH
施工 ムカイ工務店
所在地 京都府京都市
京都西陣地区の住宅地にあり、間口4.5m、奥行き17mという細長い敷地に建つ。1階は路地のような空間が建物を貫き、奥行きのある表情を街に開いている。

撮影: 石井紀久
photo: SHINKENCHIKU-SHA
5層のワンルーム住居 設計 松山建築設計室
施工 安成工務店
所在地 福岡県宗像市
地方都市の閑静な住宅街に建つ。4mの高低差のある敷地に対し、開発行為にかからないように斜面に沿って主に3段の床を配し、地面に挿入するような佇まいとしている。内部はそれぞれのフロアは直接的には繋がず、西側の階段室を介して行き来する。
Fukuoka, Japan
2015 MAP

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
擁壁と屋根/対行政住宅 設計 齋藤隆太郎/DOG 施工 大同工業所在地 神奈川県横浜市
敷地は斜面を雛壇状に造成した郊外住宅地にある。法規的に手を入れることが困難な既存車庫や擁壁を残しつつ、敷地全体に被さるようなふたつの大屋根に覆われた住居棟と車庫棟の2棟を用途不可分で計画した。

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
4n/NEW LIGHT POTTERY 設計 ninkipen! 今津康夫 施工 木村工務店所在地 奈良県生駒市
東から南に向かって開ける景色に対して張り出す家型の母屋(住宅兼アトリエ)の北側に、離れ(ギャラリー)がくの字状に配置されている。離れの屋根は照明を吊すために十分な高さを確保しつつ、エントランスに向かって低く軒を張り出している。

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
Loop 設計 彦根アンドレア/彦根建築設計事務所 施工 和田工務店 所在地 東京都世田谷区
旗竿敷地となっており、私道にも面する、2方向からのアクセスが可能な南北に細長い敷地で、周囲を建物に囲まれた環境に建つ。そうした環境の中で4つの庭をもつことで光と風を取り入れる。建物はそれぞれ異なる床レベルをもった3つの棟に分けられ、階段で繋がれる。

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
小江戸川越の町家 鹿嶌信哉+佐藤文/K+Sアーキテクツ 施工 中杢商店所在地 埼玉県川越市
川越の蔵づくりの街並み北部に建つ。間口3.2m、奥行き11.83mの細長いプランで、格子戸によって街とほどよい繋がりをもつ。縁は格子戸を全開することで土間と繋がり、街の雰囲気を家の中に引きこむ。

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
披露山の家 設計 三浦丈典/スターパイロッツ 施工 ダブルボックス所在地 神奈川県逗子市
敷地内の高低差13mのうち約8mは前面道路から階段で上がる急勾配で、残りのレベル差から成る斜面地に沿うように3つのヴォリュームを互い違いに配置。海を望めるようにすると共に、庭とのレベル差をなくし地面との近しい関係をつくり出している。