住宅特集 2015年10月号 Rebirth House
Content
[第31回吉岡賞]
結果発表 審査員: 藤森照信 乾久美子受賞作品: 「食堂付きアパート」仲俊治・宇野悠里/仲建築設計スタジオ
[特集]
職住一体——広い関係性の中で生きること
Rebirth House=松井亮/Multicellular House=筒井康二/倚渦=松田公彦+仁義裕孝/COUMA – house H=吉村寿博/陶器まつりのある家=吉永規夫/ondo=間田真矢+間田央/横須賀の家=栗原隆/箱の家148: 本庫=難波和彦/A邸=赤坂惟史 宮内義孝/koto house=柳瀬真澄/Nクリニック=岡田哲史/劇団の家=手島浩之/L×4=川島茂+鈴鹿美穂 /代沢医院の家=田井勝馬/小笹の住宅=末廣香織+末廣宣子/いえとそとのいえ=萩野智香/カットスライドハウス=山田智彦
Rebirth House
撮影: 新建築社写真部

作品

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
Rebirth House 設計 松井亮建築都市設計事務所 所在地 茨城県守谷市
明治時代に建てられた蔵を、農業従事者をはじめとした地域の人びとのための集会所として改修。東日本大震災で崩れた蔵の瓦や小屋組を保存し、1階を集会所、地階をワインカーヴとした。外周は有孔レンガで覆われており、内部空間の明かりが周囲に漏れる。また敷地に建つ離れをゲストルームとして改修し、敷地全体で人が集まる場をつくり出している。

撮影: Iwan Baan
photo: Iwan Baan
Multicellular House 設計 筒井康二建築研究所
所在地 Mill Valley, California, U.S.A.
サンフランシスコから車で20分ほど先の森の中に建つアトリエを併設した住宅。敷地は約16mのレベル差をもつ傾斜地で、斜面に沿って10個の箱が地上からもち上げられ、クラスター状に配置されている。

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
倚渦 設計 松田公彦/MATSUDA Kimihiko Studio+仁義裕孝 所在地 徳島県鳴門市
鳴門海峡にほど近い水辺に建つ設計者の事務所兼自邸。道路側の2階建てのハナレを事務所、水辺側の平屋の母屋を住まいとしている。写真はハナレの北東側外観。1階をGL-400mmまで掘り込み、2階FLは1階の開口高より低い位置に設けている。母屋は全体が障子や木製建具を稼働して空間を自由に仕切ることができる構成としている。

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
COUMA – house H 設計 吉村寿博建築設計事務所 所在地 石川県金沢市
郊外住宅地に建つ美容院が一体になった住宅で、南北にヴォリュームを分けて配置された美容院と住宅が中庭を介して繋がる。美容院のカットスペースは地面より400mm下がり、3面が鏡張りの壁面が中庭や回りのヴォリュームの白い壁面を反射する。前面道路越しに公園があり、美容院の透明度の高いヴォリュームによって、街並に新たなファサードをつくり出している。

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
陶器まつりのある家 設計 吉永規夫/Office for Environment Architecture 所在地 大阪府富田林市
陶芸家のアトリエ兼住宅。駅前のロータリーから続く道路の軸線上にある旗竿敷地に建つ。3階建てのスキップフロアで、全フロアに東西に視線が通るように開口部を開けている。入口の吹抜けの最高高さは9,600mm。構造壁に棚板160枚を挿入して幅380mm、高さ380mmの棚が設えられている。

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
ondo 設計 間田真矢+間田央/MAMM DESIGN 所在地 東京都世田谷区
北東面に接道し、南側に隣家が密接する敷地。北側に大きな公園が広がる立地を活かして、1階はテイクアウト主体のカフェを営む。南北に両面に開くカフェ、リビング、ホビールームと、トップライトから採光をとる閉じた空間が、ポジとネガの関係で対比的に構成されている。

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
横須賀の家 設計 栗原隆建築設計事務所 所在地 神奈川県横浜市
敷地は周囲を木に囲まれた斜面地で、西側に擁壁を背負う。3つの正方形を雁行させたプランで、1階は中央の正方形は玄関ポーチで、店舗・ギャラリーと住宅のバッファーとしても機能する。2階LDKからは海を望む。

撮影: 新建築社写真部
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箱の家148: 本庫 設計 難波和彦+界工作舎 所在地 秋田県秋田市
建主は図書館司書で、人口減少率が日本一高い秋田県の中心部に建つ。高齢者がお茶を飲みに来られる図書館として自宅を週1〜2日開放し、本にまつわるイベントを企画している。東日本大震災後に、難波氏が開発した「コンパクト箱の家」の屋外室案をもとに、約2万冊の蔵書を収める空間がつくられている。

撮影: 新建築社写真部
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A邸 設計 赤坂惟史 宮内義孝 所在地 東京都国分寺市
学者のための書斎と応接スペースを併設した傾斜地に建つ住宅。1階は大開口部で街と繋がり、2階は外周に巡らされたトップライトからの光に包まれた静謐な空間。3階は全面を開口としてインテリアから家並みまでを連続させ、各層を機能と居心地の両面を担保する階段室で繋いでいる。

撮影: 新建築社写真部
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koto house 設計 柳瀬真澄建築設計工房 所在地 福岡県太宰府市
太宰府天満宮の参道近い敷地に建つギャラリー、ティースペース、茶室を兼ねた住宅で、コンサートなどのさまざまな使い方が想定されている。墨色に染めたスギの外壁、軒深い庇、格子、緑という基本的な要素の外観によって、この地に相応しい佇まいとし、光やプロポーションの操作で人を引き込む。

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
Nクリニック 設計 岡田哲史建築設計事務所 所在地 大阪府吹田市
北に向かって傾斜し、3面で接道する角地に建つクリニック兼住宅。それぞれ大きさの異なる11個の箱は構造的なコアとして自立し、周囲に対してヴォリューム感を緩和する。北側の7つのコアでクリニックを、南側の4つのコアで住宅を構成。

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
劇団の家 設計 手島浩之/都市建築設計集団/UAPP 所在地 宮城県仙台市
劇団のスタジオとアトリエを併設した住宅。東面ファサードは全面を既製サッシを組み合わせた開口部とし、2階は手前のアトリエを挟んでガラス建具を入れ、採光と換気を確保しつつ、防音対策も兼ねている。

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
L×4 設計 川島鈴鹿建築計画 所在地 東京都台東区
東京下町の商店街で三代続く天ぷら屋兼住宅の建て替え。1階が店舗、2〜3階が住宅。店舗エントランスは商店街に面する北側。店舗の勝手口と住宅の入口は裏路地に面する南側に設けている。天井高3.9mの店内には、客席間に設けられたL型アングル4本を組み合わせたブレース6本が露出する。このブレースにより2〜3階の住居をチューブ状の無柱空間にすることが可能となっている。

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
代沢医院の家 設計 田井勝馬/田井勝馬建築設計工房 所在地 東京都世田谷区
3代に渡りこの土地で開業している医院兼住宅の建て替え。緩やかに傾斜する住宅街の角地に位置する。1階を医院、地下1〜2階を住まいとし、医院(西側)と住宅(南側)のエントランスは分けて設けている。コンクリートと溝型ガラスからなる帯状の壁で医院と住まいを一体に包み込み、周辺環境との快適な境界をつくっている。

撮影: 新建築社写真部
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小笹の住宅 設計 末廣香織+末廣宣子/NKSアーキテクツ 所在地 福岡県福岡市
小高い丘の上の斜面地に建つ小さな歯科クリニックを併設した住宅。1階レベル南側からは歯科クリニックにアクセス、3階レベル北側からは住宅にアクセスする。高い傾斜地を活かして、職住と風と風景の抜けが思考された。

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
いえとそとのいえ 設計 萩野智香建築設計事務所 所在地 東京都
設計者の事務所兼自邸。家の中に住機能をコンパクトに納めた「いえ」のような領域と外部空間に近い「そと」のような領域を対比的につくっている。

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
カットスライドハウス 設計 山田智彦/スタジオバッテリー 所在地 東京都文京区
住宅やマンションの建て込む都心に建つアトリエを併設した住宅。約3m角の立方体に近い9つのRCのヴォリュームを上下左右とも互い違いになるよう組み合わせ、隣り合う空間を外部的に扱い、スリットを回している。