住宅特集 2014年1月号 川西の住居
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[特集]住宅の建ち方
川西の住居=島田陽 批評: 解体する家についてのスケッチ=門脇耕三/都市にひらいていく家=栗原健太郎+岩月美穂 批評: フィクショナルな世界観がとてもリアルであるということ──現代「ケンチク」としての studio velocity=五十嵐太郎/石神井公園の住宅=長谷川豪 批評: 高さの伸縮がもたらした柔らかい空間=鞍田崇/横浜ホンズミ邸=田中昭成+POI+なわけんジム+Lapin建築設備工房 批評: ニュータウンの第4世代=貝島桃代/ヒュッテ閑馬=上原和 批評: 山を行く箱舟──「ヒュッテ閑馬」乗船記=藤木隆男/我孫子の家=堀部安嗣 批評: 住宅としての「小屋」=乾久美子/Bent House=筒井康二 批評: 壁の向こう側とこちら側: 新種の内外反転手法=奥山信一/集密の住居=五十嵐淳/GFU=新関謙一郎/House of Kyoto=満田衛資 批評: 町家の構成をスタッキングするということ=畑友洋/杣=川口通正/田尻の家=藤本寿徳 批評: 「意味」を漂白したあとの建築のありよう、あるいは物質的記憶=平瀬有人/OZ-HOUSE=向山徹 批評: “きわめて質の高い普通”への道のり=宮森洋一郎
川西の住居

作品

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
川西の住居 設計 タトアーキテクツ/島田陽建築設計事務所
施工 キョーワ・テクノ
所在地 兵庫県川西市
川西の住宅街に建つ住宅。南北を通る道路が細くなる敷地の東側外構を透水性アスファルト舗装にし、道路との境界を曖昧にしてまるで建物がはみ出すような建ち方が実現された。南側は、外構と同じモルタルで仕上げたガレージが設けられ、外壁の一部にはブロック塀でつくられている。
Hyogo, Japan
2013 MAP

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
都市にひらいていく家
設計 栗原健太郎+岩月美穂/studio velocity
施工 創SHINKO
所在地 愛知県名古屋市
敷地は間口7m×奥行21m。ガラス棟と個室棟に分棟配置し、中央は庭として3つのスロープを架けた。ガラス棟はリビングや子供のバレエの練習場といったパブリックな機能をもたせた。道路からの見え掛かり隣接する建物に「庭」が接しており、都市に対して緑の「森」を開く。
Aichi, Japan
2013 MAP

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
石神井公園の住宅 設計 長谷川豪建築設計事務所
施工 山下工務店所在地 東京都
バス通りに面する西側立面を縦長に立ち上げ、敷地奥に向かって広がる平面形状により奥行を最大限生かしつつ駐車場と庭を設けている。撮影スタジオとしても利用される1階では天井高を約3.2mとし、水回りとプライベートな機能が納まる2階は1.9mに抑えている。さらにLDKの納められた3階は天井高は約3.3mあるものの軒高と共に変化するプロポーションによって立位から床座位へと生活行為を導いている。
Tokyo, Japan
2013 MAP

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
横浜ホンズミ邸
設計 田中昭成ケンチク事務所+POI+なわけんジム+Lapin建築設備工房
施工 スリーエフ所在地 神奈川県横浜市
この住宅が建つ住宅地の抱える変化に対し、南東角を隅切りにして隣家の私道と地盤を連続させることで、近隣に明るい余白を提供する建ち方を試みている。内部は増床に対応する自由なチムニー空間、温熱環境への取り組みとしての設備空間(=風道)、ローコストの防火構造壁の工夫などが盛り込まれる。
Kanagawa, Japan
2013 MAP

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
ヒュッテ閑馬
設計 上原和建築研究所
施工 坂上工務店所在地 栃木県佐野市
山間部に位置し、地中に半分埋没したRC造の住宅。掘削した残土は建物外周に撫でつけており、小さな丘が出現させて地形に呼応させている。室内は長方形の平面に対して独立壁を直交させ、各居室が区分されつつ外部と内部が連続する空間としている。
Tochigi, Japan
2012 MAP

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
我孫子の家 設計 堀部安嗣建築設計事務所
施工 かしの木建設所在地 千葉県我孫子市
周辺に木材の加工場や資材置場、造園会社の車庫や事務所、古い平屋の家などが高低差をもちながら建ち並ぶ敷地に、3つの小さな建物を等間隔に配置した住宅。図書室棟、食堂棟、寝室棟が、その隙間に設けられた庭越しに連続し、離れていてもお互いを認識できる距離感をつくり出している。
Chiba, Japan
2011 MAP

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
Bent House
設計 筒井康二建築研究所
施工 笹沢建設所在地 東京都大田区
4面に隣家が建ち迫る中、北側斜線制限から決まる屋根形状を南側開口部の庇でも反復させている。さらに庇上部の屋根にトップライトを設えることで冬は光を室内奥まで取り込み、夏はこの庇がリフレクターとなり陽射しを遮り空の景色のみを取り込む。玄関上部と書斎上部の傾斜壁も同様の仕組みから成る。
Tokyo, Japan
2011 MAP

撮影: 新建築社写真部
集密の住居
設計 五十嵐淳建築設計事務所
施工 赤坂建築所在地 北海道札幌市
札幌市内の狭小住宅。敷地内に小さなヴォリュームを分棟で建て、各部屋同士を開口部を設けた風除室で繋いでいる。光や風などの外部環境を室内に採り込むため、なだらかなアールの壁を採用。小さな部屋の連続体験によって空間の広がりを心理的に獲得しようと試みている。
Hokkaido, Japan
2013 MAP

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
GFU 設計 新関謙一郎/NIIZEKI STUDIO
施工 安田建設工業所在地 岐阜県岐阜市
間口が狭く、奥行のある敷地が連続する伝統的な街並みが残る山麓に建つ。隣家と勾配の調子を合わせ、大きい切妻の屋根には建主が一枚一枚焼いた藤岡瓦を使用。室内は大きな屋根面が生むヴォリュームが反映され、3×10間の大らかな空間が広がる。
Gifu, Japan
2012 MAP

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
House of Kyoto 設計 満田衛資構造計画研究所
施工 アムザ工務店所在地 京都市北区
約6年間この土地で暮らしてきた4人家族の家の建て替え。古くは町家が建ち並んでいた京都の典型的な街区に位置する。住宅全体がスキップフロアで構成され、地下の寝室・地下ホール、1階のホール・子供室・水回り・上部ロフト、2階のテラス・リビング・ダイニングキッチンが少しずつレベル差を変えながら連続していく。
Kyoto, Japan
2013 MAP

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
杣
設計 川口通正建築研究所
施工 河合建築所在地 東京都
住宅街の五叉路の一角に位置し、3面で接道する。敷地形状をそのまま立ち上げるかのようにヴォリュームをつくり、各斜線制限と機能との関係から屋根のラインを決めている。外壁をスギ縁甲板化粧型枠仕上げとしたり、3mまで立ち上げられた塀も採光通風のためのスリットのほか仕上げを上部と下部で変えて笠木を架けるなど、圧迫感を軽減し街並みと調和することが意図されている。
Tokyo, Japan
2012

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
田尻の家
設計 藤本寿徳建築設計事務所
施工 大和建設所在地 広島県福山市
敷地は県道の整備により残された細長い残地で漁港と交差点に挟まれている。長手方向に40mの長さをもつヴォリュームは外壁にサンドブラストを施し、経年すると堤防や港湾施設に馴染んでいくことが意図されている。内部は2世帯間の距離を取りつつ南北方向にヴォリュームを配し、外部階段やブリッジにより外と居室が直接つながるような、平屋的な生活動線が導かれている。
Hiroshima, Japan
2010 MAP

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
OZ-HOUSE 設計 向山徹建築設計室
施工 橋本建設所在地 広島県
ビルの谷間に位置しながらも日射や通風、緑を求めるべく、奥行のある敷地に対して、庭、縁側、居室の3つの細長い層を設けて空間を構成。南側に延びる庇には木格子にガラスを嵌め込み、陽射しを内部へと採り入れる。
Hiroshima, Japan
2012