住宅特集 2011年5月号 LCCM住宅デモンストレーション棟
Content
[特集]環境とデザイン LCCM住宅デモンストレーション棟を検証する
衣替えする住宅
小泉雅生
低炭素社会に向けた、住まい方を提案する住宅 巻頭対談:
村上周三
×
古谷誠章
設計プロセスの記録と分析論考:
門脇耕三
生活活動に応答するしなやかな環境制御へ 論考:
村田涼 篠崎正彦
温熱環境 相反する条件のバランスを探す インタビュー:
桑沢保夫
×
前真之
×
木下昌大
風環境 風のシミュレーションを効果的に使う インタビュー:
高瀬幸造
×
木下昌大
光環境 生活に必要な光を体感してみる 座談会:
三木保弘
×
中村芳樹
×
松下進
LCCO2・構法 LCCM住宅を誰もが設計できるように インタビュー:
伊香賀俊治
×
清家剛
×
木下昌大
LCCM住宅が語りかけるもの
小玉祐一郎
×
小泉雅生
×
門脇耕三 [特集作品]
LCCM住宅デモンストレーション棟/小泉雅生
[作品] 姫宮の住宅=高橋堅 Rustic House=前田圭介 InBetween House=筒井康二 那須の家=川久保智康 光陽舎=服部信康 馬込沢の住宅=メジロスタジオ HDY=小川次郎 荻窪の家=森清敏+川村奈津子 護国寺の二世帯住宅=小笠原正豊 大岡山の住宅=鈴野浩一+禿真哉 OPEN ARCHITECTURE PROJECT=大薮義章 [特別企画]
東日本大震災 今、考えること。それぞれのメッセージ
吉村篤一 横河健 島原万丈 内海智行 新堀学 手島浩之 安達揚一 新谷眞人 西沢大良 松野勉
+
相澤久美 生田京子 山隈直人
+
阪田弘一 齊藤正 末廣香織
LCCM住宅デモンストレーション棟

2011年5月号『新建築住宅特集』information 期間限定公開中
作品

デモンストレーション
撮影: 新建築社写真部
DEMONSTRATION HOUSE
photo: SHINKENCHIKU-SHA
LCCM住宅デモンストレーション棟
設計 小泉雅生/小泉アトリエ+LCCM住宅設計部会
施工 郡司建設
所在地 茨城県つくば市
建設時と運用時を通して排出されるCO
2
を自らつくり出すエネルギーに相当する電力分のCO
2
削減量によって相殺し、最終的にCO
2
収支をマイナスにしようというLCCM住宅における課題と可能性について検証するためのデモンストレーション棟。「衣替えする住宅」をキーワードに、周囲の気候条件や生活シーンに応じて住まい手が自ら環境をカスタマイズし、モードを切り替えることのできる住宅を提案している。
Ibaraki, Japan
2011 MAP

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
姫宮の住宅
設計 高橋堅建築設計事務所
施工 アーキッシュギャラリー所在地 埼玉県南埼玉郡
周囲の穏やかな風景に対し、強いかたちをつくるのではなく、「いかにデザインされていない空間をつくるか」という命題のもとにつくられた住宅。
200m
2
近い空間を覆う大屋根の架構をそのまま内外に露出させ、その架構を支える壁だけがあるだけという単純な構成としている。トップライトからの光によって一室空間に光のグラデーションをつくり、さまざまな行為の場所を、自由に選びとることができる。
Saitama, Japan
2010 MAP

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
Rustic House
設計 前田圭介/UID
施工 沖田所在地 広島県福山市
田園地帯に建つ母屋の隣に、離れを建てる計画。ヴォリュームを3つに分断し、土地の記憶を継承すべく石垣や樹木、石積みの水路や敷地の高低差などを建物に取り込み、隙間から採光と通風を確保している。またルーバーのピッチと傾斜を高さ方向に変えることで、プライバシーを確保しつつ、母屋との緩やかなつながりをつくりだしている。外壁材には防腐材を加圧注入した杉材が用いられている。
Hiroshima, Japan
2010 MAP

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
InBetween House 設計 筒井康二建築研究所
施工 笹沢建設所在地 長野県北佐久郡
全体のヴォリュームは、片流れ屋根の架かった5つの山荘と、その間をつなぐように屋根を架けることでできた路地的な空間から成る。地元のカラマツ材を大工が手で刻み、在来工法でつくられた。また5つの山荘ユニットは機能によって大きさが決められ、敷地の形状・地形に合わせてお互いに30度の角度で配置されている。こうしてできるつながりは、将来的な増幅にも耐えうる可能性をもっている。
Nagano, Japan
2011 MAP

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
那須の家 設計 川久保智康/川久保智康建築設計事務所
施工 DI・サンワコーポレーション
所在地 栃木県那須郡那須町
丘陵地に建つ鉄筋コンクリートと木造(2階部分)による混構造の住宅。1階のLDKと2階の居室が、十字が重なる部分の吹抜けによって緩やかにつながる。電気式ヒートポンプを利用した蓄熱床暖房システムを24時間運転し、壁の一部や階段など体が触れる部分も暖める仕組みをつくっている。
Tochigi, Japan
2009 MAP

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
光陽舎 設計 服部信康建築設計事務所
施工 第一住宅所在地 栃木県塩谷郡
敷地は南面で接道し、高さ1,400mm程度の大谷石で北・東・西の3方向を囲まれている。そこに十字型のプランを配置することで、敷地内に4つの余白(庭)を設えている。そうすることで隣家との距離を保ち、庭を共有する。また建物の開口部高さを抑えることで、取り込まれた光を反射させ天井までふわりと包むように設計している。
Tochigi, Japan
2009 MAP

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
馬込沢の住宅 設計 メジロスタジオ
施工 金正所在地 千葉県船橋市
長年所有してきた敷地に育った樹木や、生活スペースに対応して襞状に雁行させた壁と、そのかたちとは対応させずに造形された大屋根による構成。もち物が多い建主のために、壁面の間柱を現しとし必要に応じて棚を増やすことで、徐々に家を住みこなすプログラム自体を設計に組み込んでいる。
Chiba, Japan
2008 MAP

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
HDY 設計 日本工業大学小川研究室
施工 深澤工務店所在地 東京都杉並区
建物の設置面積をできるだけ小さくしつつ大きな床面積を得ること、隣家に対する居間の向きを調節しつつ駐車場を確保すること、また光の取り込み方などといった土地の状況から生じる条件への応答と、この内部空間において使用者の自由をいかに獲得するかという具体的な身体のありかを重ね合わせ生成された住宅。
Tokyo, Japan
2010 MAP

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
荻窪の家 設計 森清敏+川村奈津子/MDS
施工 渡邊技建所在地 東京都杉並区
3つの箱とそれらをつなぐ隙間空間からなる二世帯住宅。3つの箱の居室は、中央の階段を介してスキップしながらつながる。仕上げは、外装の天然無機質系左官材がそのまま隙間空間まで連続し、居室は珪藻土としている。
Tokyo, Japan
2009 MAP

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
護国寺の二世帯住宅 設計 小笠原正豊建築設計事務所
施工 岩本組所在地 東京都文京区
傾斜地の私道の突き当たりに位置する二世帯住宅。外装は、60×210mm角の炻器質タイルを目地10mmで貼り、そのモジュールから窓回りなど外観の納まりを決定している。2・3階は、親世帯と子世帯をほぼ同じ平面で重ね、2階の子世帯は床レベルを、3階の親世帯は天井高さと仕上げを変えることで、食堂・居間・座敷の空間に変化を付けている。
Tokyo, Japan
2009 MAP

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
大岡山の住宅 設計 トラフ建築設計事務所
施工 青所在地 東京都目黒区
細長い敷地に最大限のヴォリュームを取り、内部空間の狭さを感じさせないように、玄関および階段を中央に設けて動線スペースを小さく設けたり、間仕切り壁を極力なくすなどの工夫がされた住宅。また、窓辺や構造壁を家具的に扱ったり、大きな家具のように諸機能をスタッキングすることで、建築と家具との境界を曖昧にした構成となっている。
Tokyo, Japan
2010 MAP

撮影: 新建築社写真部
photo: SHINKENCHIKU-SHA
OPEN ARCHITECTURE PROJECT 設計 大薮義章建築計画所
施工 ダイミツ建設所在地 大阪市
都市部住宅地域特有の旗竿地での計画。幅3mの竿地部分に、1部屋の離れと1台分の屋根付き駐車スペースをつくる計画。道路が延長するかのようなエキスパンドメタルのスロープが、折り返し重層的に積み重なり、母屋・離れ、そしてその屋根をなだらかに螺旋状につなげる。スロープは部分的に段差を伴って変形することで、家具の役割も果たしつつ、全体で遊具のような建築となっている。
Osaka, Japan
2009 MAP