住宅特集 2009年9月号 壁層の家
Content
特集/家・ECO ISM エコであることは住宅を変えるか
鋸南の家=
石井秀樹
建築設計事務所 スロープの家=
橋本廉太郎
+
橋本由美子
Five Gate House =
長谷川順持
建築デザインオフィス
Kokage=
末光弘和
+
末光陽子
/SUEP. 鴻巣の住宅=
龍光寺眞人+池守由紀子
ENEOS創エネハウス=小泉アトリエOpen Terrace=
木村博昭
+ケイズアーキテクツ
壁層の家=
髙砂正弘
/髙砂建築事務所 N-CUBE=トイットデザイン+
吉村寿博
建築設計事務所
c
ross air=
古関俊輔+高松樹
狛江の住宅=
長谷川豪
建築設計事務所 順風晴天の家=
ウエガイト
建築設計事務所
Hideki Ishii, Rentaro Hashimoto + Yumiko Hashimoto, Junji Hasegawa, Hirokazu Yoshimitsu + Yoko Suemitsu, Masato Ryukoji + Yukiko Ikemori, Masao Koizumi, Hiroaki Kimura, Takasago Masahiro, Toshihiro Yoshimura, Shunsuke Koseki + Itsuki Takamatsu, Goh Hasegawa, Shin’ichi Uegaito

作品

撮影: 新建築写真部
鋸南の家 設計 石井秀樹建築設計事務所
施工 網代工務店所在地 千葉県安房郡鋸南町
南房総に位置する週末住宅。周囲に田んぼ、遠方に山並みが広がる自然環境に恵まれた立地である。そのため、高床、緩やかな勾配屋根、深い庇といった建物形状、太陽光発電パネル、雨水利用タンク、エコキュートなどの設備システムの導入、自然素材の多用と、自然エネルギーの最大限の活用を図っている。内部は大きなワンルーム空間で、南側の大開口からは、見慣れた風景を新鮮なものへと見せるように、近景の田んぼから遠景の山並みまでの風景を切り取ることが意図された。
Kyonan, Awa, Chiba pref., Japan
2008 MAP

撮影: 新建築社写真部
スロープの家
設計 橋本廉太郎+橋本由美子
施工 田中工務店
所在地 神奈川県鎌倉市

撮影: 新建築社写真部
Five Gate House 設計 長谷川順持建築デザインオフィス 施工 TH-1所在地 茨城県つくばみらい市
敷地は農家が点在する広大な水田地帯で、敷地を取り巻く「囲い」の中に住居が存在する地域。周囲をブロック塀に囲まれた敷地に、大小五つの門型フレームを組み合わせることで土地の輪郭付けである囲いとの相互関係を築き、アプローチ、内外の床、仕切りへと浸透させている。門型がもつ「多数の面」という造形特性を、温熱環境づくりへも応用し、どまだんシステムを用いて温度差のない空間を実現させている。

撮影: 新建築社写真部
Kokage
設計 末光弘和+末光陽子/SUEP.
施工 小川共立建設所在地 千葉県我孫子市
自然環境としての「木陰」の快適さを、住環境に翻訳することが試みられた夫婦ふたりの老後の生活のための住宅。建物は形の異なる十本の樹木状の構造ユニットで構成されており、庭木を延長するように配置されたユニットは、お互いにずれながら連結されることで、室内外にさまざまな「木陰」をもつ多様な空間をつくり出している。その構成により1階は、夫婦がほどよい距離を保ちながら、個々に好きなことを楽しめる。対照的に2階は、それぞれの個室がペントハウスのようなかたちで載る形式。樹木のように地下水を吸い上げ、躯体内を循環するこれらのユニットは、輻射冷房のシステムとしても機能しており、「木陰」に入った時の涼感を空間に加味している。
末光弘和+末光陽子/SUEP.
Abiko, Chiba pref., Japan
2008

撮影: 新建築社写真部
鴻巣の住宅 設計 龍光寺眞人+池守由紀子/龍光寺建築設計 施工 青木建設所在地 埼玉県鴻巣市
のどかな田園風景が広がり、隣地同士がおおらかにつながる土地に建つ住宅。建物は北側に広がる母屋、菜園と直接つながり、外部に開かれた動線をとっている。開口をつくるためにずれながらひとつながりになったプランは、アルコーブを通して、中心となる場がいくつも並存している。断熱、気密、熱容量、採光や通風に配慮することで、自然のエネルギーを利用した緩やかな室内気候をつくっている。

撮影: 新建築社写真部
ENEOS創エネハウス 設計 小泉アトリエ
施工 栄港建設(建築工事)、向陽電気工業(設備工事)
所在地 横浜市港北区
CO
2
排出量ゼロの住宅を目指して新日本石油と小泉アトリエが協働してつくり上げた実験住宅。主として高気密・高断熱、パッシブデザイン、化石エネルギーの効率的利用、省エネを意識した生活、太陽光発電の五つの項目でエネルギーの有効活用を進め、CO
2
削減につなげていくことが試みられている。燃料電池や太陽光発電システムなどの環境性能の高い機器だけに頼らず、建築家との協力で住宅の設計や住まい手の生活までをも含めて総合的な環境配慮計画がなされたことが特徴。
r
Kouhoku-ku,Yokohama,Kanagawa,Japan 2009

撮影: 新建築社写真部
Open Terrace 設計 木村博昭+ケイズアーキテクツ
施工 網三基建設
所在地 神戸市東灘区
森に開くデッキテラスが特徴の住宅。3層すべてが東側の自然に対して開口をもつため、断面的にテラスが重層された構成となっている。2階のデッキテラスの庇は木ルーバーとガラスのトップライトの組み合わせで明るい縁側をつくり出す。一方で、西側の玄関や土間などは、格子による透かしや小さな開口で閉じた空間となっている。開放感と落ち着きが同居する空間となっている。
Higashinada-ku, Kobe, Japan
2009

撮影: 新建築社写真部
壁層の家 設計 髙砂建築事務所 施工 SEEDS・CASA所在地 兵庫県
前面道路側に石を積んだ壁を層状に立て、その内側に居住空間を配置している。内部には庭が設けられ、居室は庭に対して開いたりつながりをもって配置されている。
hyougo pref., Japan 2009

撮影: 新建築社写真部
N-CUBE 設計 トイットデザイン+吉村寿博建築設計事務所
施工 モオリ建設
所在地 石川県金沢市
三叉路に面する変形敷地に建つ住宅で、道路と隣家に接する東西北は閉じ、公園に面する南側は大開口によって開いている。また、キッチンやPS、書斎などの諸機能をボックス状のファンクションブースに集約することで、その周囲にフレキシブルな空間を生み出している。
Kanazawa,Ishikawa,Japan 2007

撮影: 新建築社写真部
cross air 設計 古関俊輔+高松樹/古関建築設計事務所
所在地 奈良県奈良市施工 三共建設
敷地は人目に晒されやすい一般住宅街の角地に当たる。中庭を軸に各層のレベルをずらすことで、2階の足下から1階の様子が覗けたり、1階からは2階の様子が断面のスキマから伺える。室内全体が距離を置きつつ、ひとつながりになった住宅。スチールメッシュの中に鉄平石が積まれた門扉からは、内外に光が射し込む。
Shunsuke Koseki + Itsuki Takamatsu /koseki architects office
Nara, Nara pref., Japan 2008

撮影: 新建築社写真部
狛江の住宅 設計 長谷川豪建築設計事務所
施工 ミサワホーム東京
所在地 東京都狛江市
敷地は100m
2
ほどの角地で、建蔽率は50%。半地下の空間は、地盤面から1m以下の地階は建蔽率対象外となることを利用し、敷地いっぱいに建物を建て、半分を居間、もう半分を庭、庭の下に寝室や水回りなどのプライベートな半地下の空間をつくっている。その半地下上部の庭の空地が、密集した住宅地を少し明るくするような存在になることが期待されている。
Komae,Tokyo,Japan 2009

撮影: 新建築社写真部
順風晴天の家 設計 ウエガイト建築設計事務
所
施工 須賀工務店
所在地 埼玉県越谷市
Koshigaya,Saitama,Japan 2009

住宅物語: ハウス・アサマ 文 塚本ゆりイラスト 寺田晶子