住宅特集 2002年7月号 住居No.22
Content
特集: 自然素材・健康素材 再考 遠藤政樹
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池田昌弘
/EDH遠藤設計室+MIAS
坂本昭
・設計工房CASA
千葉学
建築計画事務所
内藤廣
建築設計事務所
石井和紘
建築研究所
手島浩之
/都市建築設計集団・UAPP
田井幹夫
/アーキテクト・カフェ
泉幸甫
建築研究所
丸谷博男
+エーアンドエー
伊藤寛
アトリエ
彦根アンドレア
/彦根建築設計事務所
鈴木信恵
/うてな計画室 監修: 早稲田大学
田辺新一
研究室

作品

ナチュラルスラット 設計 遠藤政樹+池田昌弘/EDH遠藤設計室+MIAS
施工 葛工務店
所在地 東京都武蔵野市
東京郊外の約30坪の敷地に建つ住宅.45度に開いた60枚の縦型スラット(=羽根板)を柱およびブレースとして機能させ,それらを梁プレートに連結した鉄骨ブレース付きラーメン構造となっている.各スラットはブレースとしての鉄板,断熱材としての硬質ウレタンフォーム,仕上げ材としてのフレキシブルボードにより総厚25mmの一体パネルとして構成されており,各スラット間を直交するように複層ガラス,スチール扉,断熱壁等のさまざまな素材が環境に応じて自由にセットされている.これらも含め構造から仕上げまでのすべてのデザインにおいて25mmというスケールが意識されている.

羽曳が丘の家 設計 坂本昭・設計工房CASA
施工 昭栄興業 新行建設
所在地 大阪市羽曳野市
2枚の平行な壁と白い直方体による構成.壁と壁,直方体と直方体の間には場に応じた庭が設定され,空間を豊かなものとしている.この建築は周囲の自然を目一杯に受け止め,やわらかく内部に取り込み,ここで生活する人びとの行為のすべてを包み込む器となっている.

White Cube 設計 千葉学建築計画事務所
施工 鈴木興業
所在地 東京都
街中につくられた空隙を思わせる内部吹抜け(2・3階を結ぶ階段部分)が,前面の道路から見られる.1階は事務所として使用し,2・3階を住居としている.外部には,比較的閉じた住空間であり,トップライトのある階段部分と,アプローチ側のルーバーを通して採光を得ている.

住居No.22 設計 内藤廣建築設計事務所
施工 大栄工務店
所在地 東京都
それぞれに時代の違う3つの棟からなる住宅.既存のALCの棟,改修された母屋の一部にあたる棟,さらに新築の棟という構成である.かつてあったいちばん古い母屋を一部を残して壊し,改築.さらに鉄骨造の新築を残された母屋の一部と連結させている.3棟に囲まれた庭や,かつてと同じ位置に残されたアプローチは,それぞれに新たに手を加えられ再生されている.

白樺コンサバトリー 設計 石井和紘建築研究所
施工 市川保工務店
所在地 長野県北佐久郡軽井沢町
その土地の木を活かすため,軽井沢の地場のシラカバの皮付き丸太を柱・梁に使った増築.丸太を強調するためもあり,外壁および屋根は透明ガラスで覆われている.

house-KSK 設計 手島浩之/都市建築設計集団・UAPP
施工 錢高組東北支店
所在地 仙台市太白区
建物を1層分地面に埋め込み,下階周囲には壕をつくって,採光と通風を考慮している.地上階にはリビングやダイニング,そして比較的大きな庭と接続するデッキテラスを設けている.壕に囲まれた下階は寝室などのプライベートなゾーンとなっている.

鵜ノ木の家 設計 田井幹夫/アーキテクト・カフェ
施工 前川建設
所在地 東京都大田区
家族が集うリビングを2階とし,寝室・プレイルームというプライベートで閉じた部屋を1・3階に配し,外部に対して開放性もたせたリビングを上下階から挟んでいる.2階,方立に合わせて立てられた柱は80mm角のスチールパイプで,開口のない壁面部分ではそれら柱を斜材でつないで,構造を成立させている.リビングは3.9mの天井高をもち,その上部を将来的な増床空間として考慮している.

高千穂・葉山体感館 設計 木曽三岳奥村設計所
施工 高千穂
所在地 神奈川県三浦郡葉山町
眺望が開けた南斜面に建つ地下1階・地上2階建ての住宅.1階は主に家族が使う部屋,2階に家族の使用と共に,来客を想定したスペースが用意されている.外壁は左官仕事のハンダ仕上げ,ふたつの和室の壁は錆土の水捏ね仕上げ,リビング,ダイニングには石灰と白竜,土を混ぜ,生乾きの状態でのろを落としたもの,その他の部屋は漆喰に亜炭という土を混ぜ木ゴテで仕上げたもの,階段の手摺は下地に松煙を混ぜた生石灰クリームの上に真っ白い生石灰クリームを塗った後,磨いて仕上げたもの,とそれぞれ場所に応じてさまざまな自然素材が使い分けられている.

SUGAR 設計 泉幸甫建築研究所
施工 岩本組
所在地 東京都大田区
眺望が開けた南斜面に建つ地下1階・地上2階建ての住宅.1階は主に家族が使う部屋,2階に家族の使用と共に,来客を想定したスペースが用意されている.外壁は左官仕事のハンダ仕上げ,ふたつの和室の壁は錆土の水捏ね仕上げ,リビング,ダイニングには石灰と白竜,土を混ぜ,生乾きの状態でのろを落としたもの,その他の部屋は漆喰に亜炭という土を混ぜ木ゴテで仕上げたもの,階段の手摺は下地に松煙を混ぜた生石灰クリームの上に真っ白い生石灰クリームを塗った後,磨いて仕上げたもの,とそれぞれ場所に応じてさまざまな自然素材が使い分けられている.

渋谷区富ヶ谷の家 設計 丸谷博男+エーアンドエー
施工 広・佐藤工務店
所在地 東京都渋谷区
庭に面した木製デッキに,リビングやダイニング,さらに玄関ホールがそれぞれ連続し,一体的な空間をつくっている.内部は,暖房時の暖気の流れる高さを考慮してエアコンの設置位置を工夫したり,和紙や自然塗料の採用など,随所に細かな配慮がなされている.

大磯の家 設計 伊藤寛アトリエ
施工 中藤材木店
所在地 神奈川県中郡大磯町
十字路に面した2階建ての住宅.矩形プランで,端から少し離した位置に階段を置くことにより,大きな空間と小さな空間に分割.2階にできるだけ大きな空間が確保できるよう床レベルの位置をぎりぎりまで下げることにより,天井の低い寝室,白いユーティリティ,大きなリビング,小さな家事コーナー,小屋裏の書斎という,ひとつながりの5つの場所をつくっている.外壁は土佐漆喰金ゴテ仕上げ.内部の壁は土塗り壁,一部スギ板張り.ダイニングの椅子とテーブル,キャビネットは森豪男氏がデザインしたもの.照明は設計者がデザインしたオリジナル.

HIMMEL HAUSE ふたつの空の家 設計 彦根アンドレア/彦根建築設計事務所
施工 島田伊工務店
所在地 東京都八王子市
敷地南側の擁壁が倒壊したときのことを考慮し,建物は南側に4.2mオーバーハングする断面形状をもっている.その形状からによる大きな軒裏にトップライトをつくり,スキップフロアの各室に採光を配している.居室内の人の感覚と室温の関係から,柔らかく軽い素材としてキリ材が用いられている.また塗料には,ホタテ貝の貝殻からつくられるチャフウォールを採用している.

フロウハウス 設計 鈴木信恵/うてな計画室
施工 日科建築
所在地 東京都世田谷区
南東の角地に建つ夫婦ふたりのための2階建ての住宅.1階には陶芸アトリエを中心とした人びとの集う公的な場,2階には寝室と水回りなどの私的な場が配されている.外張り断熱通気工法(SHS工法)で,外壁は土モルタル掻き落し仕上げと不燃木材張りの構成.内部間仕切りには,視線を遮りつつ室内空気が循環するように可動の格子や障子,引き戸が多用されている.居間の吹抜けには,蓄熱を期待した土壁がしつらえられ,アトリエは蓄熱式床暖房.内壁には色漆喰,木部は自然系塗料であるオスモカラークリア塗りなど,可能な限り安全な内装材が選択されている.