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都市とテクノロジー 第2回:CityScope 集団的意思決定のためのデジタルツール

吉村有司/東京大学先端科学技術研究センター特任准教授

第2回目は、MIT Media Lab City Science Groupが発展させたCityScopeの取り組みを紹介する。Scopeを紹介する。City Science Groupはテクノロジーを活用した市民参加型のまちづくりの可能性を通して、民主主義とはなにかを広く社会に問い掛けている。集団的合意形成をサポートするプラットフォームとして彼らが開発したのがCityScopeだ。

CityScope 2018, MIT Media Lab, City Science Group
Cooper Hewitt, Smithsonian Design Museumで行われた“The Road Ahead: Reimaging Mobility”展(2019年3月31日〜12月14日)に出展された展示作品

プロジェクションマッピングなどを駆使しながら、レゴブロックを動かすことによって直感的にまちづくりを体験出来る仕組みをつくり上げた。1つ1つのレゴブロックをオフィス、住居、アメニティなど用途に見立て、それらの配置を変化 えることにより周辺にどの様な影響があるのかがリアルタイムで可視化される。オフィスを1つ動かすことによる騒音や空気汚染の増大などが参加者全員に視覚的に共有されることにより、問題意識もシェアされる。そこから新しい想像が生まれ、それら一人一人の想像力の積み重ねが現実の風景をつくっていく。そもそも都市とは、誰もが編集可能な創造物だったはずだ。CityScopeの試みとその実践は、鉛筆と紙、そして模型が主だったツールだったまちづくりに、新しいフェーズの到来を予感させてくれる。

2019年に東京大学で行われた第7回目のUrban Sciences Lab連続レクチャーでは、City Science Groupから山﨑菜々子氏を迎えて行われた。

吉村有司/東京大学先端科学技術研究センター特任准教授
愛知県生まれ、建築家。2001年より渡西。ポンペウ・ファブラ大学情報通信工学部博士課程修了。バルセロナ都市生態学庁、カタルーニャ先進交通センター、マサチューセッツ工科大学研究員などを経て2019年より現職、ルーヴル美術館アドバイザーを兼任。主なプロジェクトに、バルセロナ市グラシア地区歩行者計画、Bluetoothセンサーを用いたルーヴル美術館来館者調査、機械の眼から見た建築デザインの分類手法の提案など、ビックデータやAIを用いた建築・まちづくりの分野に従事。「地中海ブログ」で、ヨーロッパの社会や文化について発信している。