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海外の建築教育 第1回:コーネル大学 ---業火の洗礼

新建築.onlineの新連載、水曜日のテーマは「海外の建築教育」です。海外へ留学を考えている読者の方に、普段あまり情報が入ってくることのない海外の建築教育の現状を、実際に海外で建築教育を受けられた方のレポート通じて、紹介していきます。

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カズ・ヨネダ/Bureau 0-1

ハーバード大学GSDに関する寄稿を新建築社から依頼されたが、私の建築教育、いや建築人生が始まったともいえる、コーネル大学から紹介したい。そもそもハーバードは大学院からしか建築教育が受けれらない。建築の基礎教育をしめなおかつ感受性豊かな思考力や人格の形成過程で学部生期はもっとも重要だ。また、この連載の読者層も学部生の年代が多いと聞くので、この時代から始めるのが妥当だろう。

アメリカで建築を志す者は誰しもコーネル大学の建築学科を知っているが、日本ではブランド力が定着していないのかあまり知られていない。嘆かわしいことだ。さて、アメリカにおける建築学科の学部生は、5年間のカリキュラムが組まれる。いわゆる、バチュラー・オブ・アーキテクチャ(B.Arch)の学部課程である。しょっぱなから設計課題のスタジオをはじめ、方法論、構造、セオリー、敷地等の環境分析、設備、歴史、建材、工法などなど朝から晩まで建築の関連授業で目白押しだ。特に重要視されているスタジオの最初の2年においては、「クリーム・セパレーター」(全乳をクリームと脱脂粉乳に分離する過程で、重い脱脂粉乳は外側に、軽いクリームは内側に集める)と言われるほど厳格な指導や選抜基準をくぐらなければいけない。文字通り、その過酷なブートキャンプを経て浮くか沈むかが見極められる。私の時は、ファウンデーションと呼ばれる最初の2年間(学部1年〜2年)のスタジオで10人に2、3人は脱落した。5年後に、はれて卒業できた同期は半数くらいになっていた。(卒業制作へのリンク

高校を卒業したばかりで、新しい大学生活を胸に希望に満ちた目をキラキラ輝かせていた新入生を前に指導教員が初日放った言葉が今でも頭から離れない。「今まで諸君たちが想像していた、もしくは知っていると思っている建築の概念はまったくもって荒唐無稽、出鱈目だ。今日を境に忘れなさい。いや、忘れさせてみせる。今までの憶測が消えさり、あらためて正しい建築の教育を行う。心してかかりなさい。今日が皆さんの新生誕生日だ。おめでとう。」と。

カズ・ヨネダ/Bureau 0-1 主宰
ワシントン州生まれ、カリフォルニア州育ち、建築家。
コーネル大学建築学科B.Arch卒業、ハーバードGSD大学院修士M.Arch2課程修了。
伊東豊雄ハーバード@東京スタジオの立ち上げに参画するため2011年に渡来。Takramのアソシエイトディレクターを経て、2014年にbureau0-1を開始。2018年には、法人化を経てBureau 0–1株式会社。 プラクティスのかたわら、教育や研究にも積極的に取り組む。現在、慶應義塾大学、日本女子大学、法政大学、早稲田大学、ハーバード大学GSDで講師を勤め、国内外に活動の場を広げている。主なプロジェクトに、大和ハウス工業Intelligent Logistics Center PROTO、Takram表参道スタジオ、dOCUMENTA(13)で展示したShenuなど。