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海外の建築教育 第3回:ハーバード大学GSD ---ハリウッド

カズ・ヨネダ/Bureau 0-1

コーネル大学建築学科の学部課程を卒業後、2年間東京の建築事務所で丁稚奉公さながらの実務経験を積んだ筆者は、過労で入院中、このままでは自分がダメになる、ガラス天井にぶつかりそうに感じて、病床で大学院へ進学する手続きをはじめた。闘病しながら死に物狂いで入学願書やポートフォリオ、推薦書といった出願準備を行った。若さとは、げにも輝かしくも思い立ったら猪突猛進なことか。退院して時が過ぎ、桜が咲き始めた頃、4月1日に封筒が届いた。最悪のタイミングである。おりしも母国ではエイプリルフールだ。化かされたと思って封筒を開けたら、念願のハーバード大学GSDの合格通知であった。日本での生活に終止符を打ち、新たな環境での再スタートに旅立った。
大学院は、学部と違って基礎教育は提供されず、ある程度個々人が探究したいトピックや研究したい分野を前もって表明する必要がある。筆者の場合、建築や都市における最先端のセオリー、それもデザインのメソドロジー(方法論)に役立つセオリーを学びたかった。オプションズ・スタジオの形式は同じであるが、毎年リピートするコアの教授陣がもつスタジオ、座学講義やセミナーが各大学院の真骨頂といえよう。 院に行く前に恩師から聞かされたのが、「GSDは建築のハリーウッドみたいなところだ。世界中から著名な建築家や都市デザイナーが一同に集まり、めまぐるしくキラキラしていて自分を見失いやすい環境だ。あまり眩しい星たちに近付いて目眩しをくらうよりは、誰とどのような 研究がしたいとか、しっかりと自分の中で軸をもって行きなさい。」

カズ・ヨネダ/Bureau 0-1 主宰
ワシントン州生まれ、カリフォルニア州育ち、建築家。
コーネル大学建築学科B.Arch卒業、ハーバードGSD大学院修士M.Arch2課程修了。
伊東豊雄ハーバード@東京スタジオの立ち上げに参画するため2011年に渡来。Takramのアソシエイトディレクターを経て、2014年にbureau0-1を開始。2018年には、法人化を経てBureau 0–1株式会社。 プラクティスのかたわら、教育や研究にも積極的に取り組む。現在、慶應義塾大学、日本女子大学、法政大学、早稲田大学、ハーバード大学GSDで講師を勤め、国内外に活動の場を広げている。主なプロジェクトに、大和ハウス工業Intelligent Logistics Center PROTO、Takram表参道スタジオ、dOCUMENTA(13)で展示したShenuなど。