新建築 2020年6月号発売となりました !

コロナ時世下の都市空間 第2回:車道を歩道へと展開するオープンストリーツプログラム

関谷進吾/プレイス・ソリューションズ・グループ代表

「160kmの車道を歩行化するニューヨーク市オープンストリーツプログラム」
対人距離を確保するため、世界各地では、道路を開放する動きが加速しています。既存の歩道幅員では、密集が生じてしまうため、各地の車道を歩行化する施策です。新宿区の神楽坂通りも同様の理由でホコ天を中止していません。こうした中、注目されているのが、世界最大級のホコ天事業であるニューヨーク市の「オープンストリーツプログラム」です。同市では、人や交通の動きをデータ化し交通政策に反映するNuminaのセンサーなどによって、歩道が対人距離をとるに不十分であることが明らかにされ、4月27日に、市内160kmの街路を、歩行者とサイクリストのために段階的に車線を解放する同プログラムが発表されました。原則、午前8時から午後8時の間に実施されます。

既存の歩道幅員が対人距離確保に不十分であることを示したNuminaのセンサー情報(プライバシー徹底設計による公共領域測定) / Numina(numina.co, @numina on Twitter)

サマーストリートによりホコ天化されたパーク街の姿/筆者撮影

ニューヨーク市オープンストリーツの分布図/ニューヨーク市交通局

「車道でのアルフレスコ」
さらに、ニューヨーク市トロッテンバーグ交通局長は、地元の飲食店オーナーからの要請を受けて、飲食店による車道の使用「アルフレスコ」について検討しています。飲食店の店内では、十分な対人距離が確保できないことから、事業再開が困難な状況にあり、切実な状況にあります。すでに、飲食店が歩道などの公共空間にテーブルを置いて営業するための手数料、サイドウォークカフェ料金を、2021年2月28日まで免除する条例が5月13日に可決されています。フロリダ州タンパ市では、5月5日より「レストラン・小売業リカバリーゾーン」を14日間の社会実験で指定され、車道の積極活用が展開されています。ミラノ市では、ニューヨーク市と同称「オープンストリーツプログラム」の中で、公共空間が不足している区域について、道路を公共空間化し、歩道沿いの飲食店や居酒屋による屋外での営業活動を促進する取り組みを発表しています。このようにして各地で、自由に移動する権利、営業を実施する場所を提供するために、車道に対する注目が高まっています。

ブルックリンのレッドフックウォークで車道に張り出す飲食店の様子/筆者撮影

関谷進吾/プレイス・ソリューションズ・グループ代表
1983年、英国ウェールズ生まれ。慶大環境情報学科卒、同大学大学院修了。フルブライト奨学制度で、ニューヨーク市のプラット・インスティテュート大学院にてプレイスメイキング学修士。ニューヨーク市では、BID組織ユニオンスクエアパートナーシップのデザインスペシャリストとして働き、後に、WXY建築・都市デザイン事務所において、プランナーとして、ダウンタウンブルックリンの公共領域の再編プロジェクトなどに従事。帰国後、プレイス・ソリューションズ・グループ合同会社を設立。