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新建築ライブラリー 第8回:『建築昭和史』その8

当社の96年におよぶアーカイブから、絶版本を中心に紹介する「新建築ライブラリー」。
『建築昭和史』(1977年、著:佐々木宏)の第2章「昭和6年から昭和12年までの状況」をご紹介します。

昭和9年1月号から巻末に詳細図が収録されるようになりました。設計者により異なっていた図面表現を、編集協力者の中心的存在であった安田清の発案で機械製図に近い表現にトレースしたことや、その新しい図法による詳細図の掲載が好評を得たことについて触れています。

以下、本文より抜粋

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ここで留意しておかなくてはならないことは、この「新建築」の詳細図の図面表現が当時の慣習とは異なっていた点である。 当時の図面の引き方は、線が交わってから少しはみ出すようにするのが支配的であった。その線の走り具合によって各人個性的な図面を描いていた。図面の巧拙は書道の筆勢などに通じていたといえよう。

こうした図面表現に疑問を抱いた安田は、設計者より提供された青図通りにトレースせずに、機械製図などに近い表現を指示してトレースさせて今日の一般的図法のようにしたということである。この図法の改革が、建築教育の場である大学などではなく、 ひとつの雑誌の付図によって行なわれたという事実は特筆に値する。 ちなみにこの詳細図は評判がよかったので、安田の編集によって単行本として詳細図集が刊行されたほどである。
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著者略歴(*本データは書籍の刊行当時に掲載された情報です)
佐々木宏
昭和6年北海道に生まれる。昭和30年北海道大学工学部建築学科卒業。昭和32年東大大学院修士、昭和37年同博士課程終了。現在、佐々木宏建築研究室主宰、および法政大学工学部講師。