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コロナ時世下の都市空間 第4回:オンライン閲覧化・屋外化するチェルシーの芸術界隈

関谷進吾/プレイス・ソリューションズ・グループ代表

アートギャラリーのオンライン閲覧室

ニューヨークのソーホーやトライベッカ地区には、歴史的にロフト住まいのアーティストコミュニティが形成され、住居、オフィス、ギャラリーやアトリエなど「暮らす、働く、つくる」の空間が近接しています。世界屈指のギャラリーやアートコレクターが集まる主要なアートフェアはすべてニューヨークで行われていることでも知られています。
しかしそのアートフェアの代表格のひとつフリーズ・ニューヨークもコロナ禍を受けて、例年開催される5月のランドール島での開催を中止し、急遽、200以上のギャラリーによる仮想空間オンライン閲覧室を設置して対応したことで話題を呼びました。同時期にオンラインで開催されたサザビーズのオークションでは、同社オンラインオークション史上過去最高額の倍以上にあたる、14億円を超えた落札がありました。こうした背景から、多くのギャラリー空間のオンライン閲覧室化が加速しています。

回遊式オペラ

音楽批評家ジャスティンダヴィッドソンによると、今後の芸術の閲覧方法は、すでに展開されているオンライン化が、今後さらに進展すると話しています。対人距離を確保する取り組みとして、2.4kmのハイラインの屋外空間を活用したマイルロングオペラもそうした取り組みのひとつです。

マイルロングオペラは、ハイラインの設計者であるディラー・スコフィディオ+レンフロと作曲家デイヴィッド・ラングの共同制作による屋外で観客が回遊して鑑賞されるオペラで、2018年10月上旬の一週間、ハイラインを会場にして、約千名の歌手を集めて実施されました。訪れるたびに風景に新たな要素を与えてリピーターを増やす仮設アート事業ハイラインアートも注目されています。アートは室内から屋外、ウェブへと展開し、都市をより都市的に洗練化させ、アート業界を活性化しています。

関谷進吾/プレイス・ソリューションズ・グループ代表

1983年、英国ウェールズ生まれ。慶大環境情報学科卒、同大学大学院修了。フルブライト奨学制度で、ニューヨーク市のプラット・インスティテュート大学院にてプレイスメイキング学修士。ニューヨーク市では、BID組織ユニオンスクエアパートナーシップのデザインスペシャリストとして働き、後に、WXY建築・都市デザイン事務所において、プランナーとして、ダウンタウンブルックリンの公共領域の再編プロジェクトなどに従事。帰国後、プレイス・ソリューションズ・グループ合同会社を設立。