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非統一的な個人主義が生み出した都市 井上章一 著による『日本の醜さについて 都市とエゴイズム』【幻冬舎】

個人主義で自己主張の強い欧米人とくらべ、日本人は集団主義的で協調性があり、「和をもって貴し」とする民族だと言われてきた。しかし、ひとたび街に目をむければ、それはまちがいだと気づく。
利権まみれで雑多な東京。くいだおれ太郎やかに道楽など人形だらけで幼稚な大阪。“千年の都”と称されながらスクラップ・アンド・ビルドをくりかえす京都。

ローマと東京、ヴェネツィアと大阪、フィレンツェと京都――街並をくらべるかぎり、近代化に成功し、本物の自由を勝ちとったのは欧米ではなく日本なのだ。都市景観と歴史が物語る、真の日本人の精神とは?


文化風俗について多数の著書を持つ筆者.
「日本人=集団主義的,欧米人=個人主義的」という実証性のないステレオタイプについて,これまで民族性の評価指針となってこなかった都市景観と建築を俎上に載せ,この対比を覆えす.
たとえば,欧州の都市が奇抜な新築を許さず中世の街並みを保ってきた一方,日本の都市では建築が「我を張る」ことを許容する点においては,この集団・個人主義観は逆転している.こうした比較から,著者は,東京の非統一的な個人主義が,日本の建築家に実作の機会を与え,世界的な活躍の土壌となっていると指摘している. (ゆ)


新書判/235頁/800円+税